JEDEC(JEDEC Solid State Technology Association)は、JESD318: Compression Attached Memory Module(CAMM2)共通規格の発行を発表した。これは、SO-DIMM以来となるノートPC向けのRAMの新しいフォームファクタであり、これまでCAMMと呼ばれていたものが、正式に「CAMM2」として発表された形だ。
DELLの独自規格が業界標準のCAMM2へ
「CAMM」は、元々DELLがPrecision 7670ノートパソコンで導入した独自技術から始まったものだが、従来のSO-DIMMに対して大幅に薄いというその利点は業界の注目を集めるに十分な物だった。DELLによればSO-DIMMより57%薄く、さらにDDR5 SO-DIMMメモリの6,400MHzの壁を乗り越え、”これまで以上に高いクロック速度に拡張できる”事も特徴だった。
CAMMは当時DELL独自規格であったため、一般的に販売されておらず、これが普及の妨げであったが、今回GDDR6、HBM3、DDR5など、メモリの仕様を策定する組織であるJEDECによって標準化されることで、はるかに容易にユーザーが入手しやすい物になることが期待できる。
CAMM2仕様には、DDR5用とLPDDR5(X)用の2種類がある。DDR5 CAMM2は、パフォーマンスノートPCとメインストリームデスクトップPC向けを対象としており、LPDDR5/5X CAMM2は、ノートPC全般と一部のサーバー市場セグメントをターゲットにしている。注目すべきは、CAMM2によって、はんだ付けされていないLPDDR5(X)メモリが可能になり、はんだ付けされたDDR5 RAMの使用が抑制される可能性があることだ。しかし、この2種類はピンアウトが異なるため、もう一方のタイプのRAM用に作られたマザーボードで一方のタイプを使用することは出来ない。
CAMM2のもう1つの利点は、1つのモジュールでデュアルチャネルを実現する点だ。これまでSO-DIMMメモリは、1スティックにつき1チャネルしか持つことができず、デュアルチャネルによる高速通信を有効にするため、ユーザーはRAMを2枚挿し(もしくは偶数挿し)する必要があったが、CAMM2では、コネクタを縦に 2 つのシングルチャネル CAMM2 コネクタに分割しており、それ単体でデュアルチャネル CAMM2 として使用できるのだ。
ただし、CAMM2はそれ自体がまだ新しい規格であり、SO-DIMMよりもはるかに高価になることは間違いないだろうが、ノートパソコンやその他のモバイル機器の新しい標準になることは間違いなさそうだ。とはいえ、SO-DIMMが段階的に廃止されるにはまだ時間がかかりそうで、2つの規格はしばらく並行して存在する事が予想される。
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