Qualcommは来年にはSamsungとよりを戻すかもしれない。
Business Koreaが報じている所では、Qualcommが2025年にもリリースすると見られる次世代スマートフォン向けSoC「Snapdragon 8 Gen 5」について、ここ数年製造を委託しているTSMCに加え、Samsungのファウンドリにも製造を委託する可能性があるとのことだ。
QualcommはTSMC一社依存から脱却したい
6月4日に台湾のホテルで行われたメディア向け説明会の中で、QualcommのCristiano Amon CEOはTSMC単体に依存する現在の製造体制のリスクに関し、ジャーナリストからの質問を受け、Samsungとの二重調達を検討していると述べたという。
Amon氏は、「現在の焦点はTSMCでのファウンドリ生産にありますが、両方の側面を一つの会社で扱うにはかなりの努力が必要になるでしょう」と述べ、TSMC、Samsungの両社との協力について前向きな姿勢を見せたという。
QualcommのSnapdragon 8 Gen 1はSamsungの4nmプロセスで製造されたが、この製品の発熱問題と電力効率の悪さにQualcommはSamsungを見限ったと言われている。その後すぐにTSMCに切り替えてほぼ同じ形で作られたSnapdragon 8 Gen+ 1は上記の問題が出ることもなく、その後のSnapdragon 8 Gen 2、Snapdragon 8 Gen 3、そして今年発売予定のSnapdragon 8 Gen 4に、Windows PC向けSnapdragon X Eliteと、どれもTSMCの製造で大きな問題が出ることもなく、また歩留まりも優秀だと言われており、これがTSMC1社への依存が続く要因となった。
だが、その後もSamsungは度々Qualcommに対し新たな製造プロセスでの製造をアプローチし続けており、Snapdragon 8 Gen 4ではSamsungの3nmプロセスでの製造が採用されるのではと過去には報じられた。結果的にその歩留まりの悪さからTSMCに全ての委託が行われ、未だ実現には至っていないが、Samsungは諦めていないようだ。
QualcommとしてもTSMC一社への依存はコストの面でもリスクが高いものになっていると言う事も、Samsungとの二重調達を検討する動機の一つであるかも知れない。Snapdragon 8 Gen 4はSnapdragon Xチップと同様に、QualcommのカスタムOryonコアを搭載すると言われているが、これに伴いかなりコストアップになる可能性が示唆されている。二重調達にすることにより、Qualcommとしても有利な見積もり条件を引き出せる可能性があり、スマートフォンメーカー、ユーザーにとっても利益に繋がる。また、地政学的なリスクも無視できないだろう。中国の台湾侵攻は近年懸念されているところであり、TSMCも工場の移転を検討したが、結果的に不可能だとの結論に至ったとされている。
Samsungは同社の次世代Exynosチップで改善されたと言われる3nmプロセスを用いることに加えて、2025年にも2nmプロセスを導入する計画である。
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