OpenAIのライバルと目されているCohere社は、先日のAccentureとの提携に続き、エンタープライズ向け分野での動きを強化している。
今回Cohereは、「Command R+」と名付けられた、エンタープライズ・アプリケーション向けに設計された新しい大規模言語モデル(LLM)を発表した。このモデルはRAG(Retrieval-Augmented Generation:検索拡張生成)とツールの使用に特化したもので、以前発表されたCommand Rを基盤とし、全体的にパフォーマンスが向上したモデルだ。Cohereは、Command R+は同カテゴリーの類似モデルを凌駕し、GPT-4のような高価なモデルにも引けを取らないと主張している。
CohereによるCommand R+の主な特徴は以下の通りだ:
- 128kトークンのコンテキスト・ウィンドウ
- 誤情報を最小化するソース引用による高度な検索拡張生成(RAG)。
- 10の主要ビジネス言語をサポート:英語、フランス語、スペイン語、イタリア語、ドイツ語、ポルトガル語、日本語、韓国語、アラビア語、中国語
- 複雑なビジネスプロセスを自動化するツールとの統合
特に、エンタープライズ対応ということで、問題になってくるのはLLM特有の幻覚など精度面だが、Command R+は高度なRAG向けに最適化されており、回答精度を向上させ、ソース情報を提供することで幻覚を減らすことができるとしており、企業にとって特に魅力的なものとなっている。
テキストフロー、引用の質、全体的な有用性を評価する比較テストにおいて、Command R+はGPT-4などの競合モデルを上回った。Cohere社によれば、このモデルはWikipediaやインターネットのデータを使った質疑応答テストでも高い精度を示した。
また、Command R+の価格設定も企業にとっては魅力的で競争力があるものだ、100万トークンのインプットとアウトプットのコストはそれぞれ3ドルと15ドルに設定されている。これはClaude 3 Sonnetと同等である。最新のGPT-4 Turboモデルは100万投入トークンで10ドル、100万出力トークンで30ドル、Claude 3 Opusはそれぞれ15ドルと75ドルである。
Command R+は、CohereとLangChain APIを通じてアクセスできるツール使用機能も提供している。これにより、CRMのレコードを自動的に更新するといったタスクを実行することができる。
新機能として、マルチステップツールの使用がサポートされ、複雑なタスクを解決するために複数のステップで複数のツールを組み合わせることができます。Command R+は、ツールを誤って使用しようとした場合や、ツールが失敗した場合に自己修正することもできます。
MicrosoftのToolTalk (Hard)やBerkeleyのFunction Calling Leaderboardのようなツールベンチマークにおいて、Command R+はClaude 3 SonnetやGPT-4 Turboに匹敵する結果を達成している。
Command R+とそのウエイトは自由に利用できるが、ライセンスは研究目的のみに限定されている。ローカルまたは現在提供されていないクラウドプラットフォームでの商用利用に興味のある方は、ライセンス契約についてCohereが別個に対応するとしている。このモデルのデモ・バージョンは、テスト用に利用可能である。
Cohereはまた、Microsoft Azureとのコラボレーションを発表し、開発者や企業がAzureプラットフォームを通じて最新のモデルにアクセスできるようになった。今後数週間のうちに、CohereはOracle Cloud Infrastructure (OCI)やその他のクラウドプラットフォームでも利用可能になる予定だという。
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