NVIDIAは、最新のMLPerfトレーニングベンチマークの8つのテストすべてで新記録を樹立し、生成AI向けの新しいMLPerfテストでも優れた結果を示した事を発表した。スタートアップのInflection AIが共同開発し、GPUアクセラレーションワークロードに特化したクラウドサービスプロバイダーであるCoreWeaveが運用する3,584基のH100 GPUを搭載した市販のクラスタ上で、GPT-3ベースの大規模なトレーニングベンチマークを11分未満で完了した事を報告している。
注目すべきは、このメディア向けブリーフィングの中で、NVIDIAはGeForce RTX 4000シリーズの後継となる製品を含んだ次世代製品の詳細を示すロードマップを共有しているのだ。
NVIDIAはしばらくゲーミングGPUの新製品を発表しないかも知れない
ロードマップによると、NVIDIAは2025年に「Ada Lovelace-Next」グラフィックカードを発表する予定だ。同社が現在の命名規則を継続すると仮定すると、次世代GeForce製品はGeForce RTX 5000シリーズとして市場に投入されると考えられる。
NVIDIAはすでに、Blackwellとしても知られる「Hopper」の次の世代となるGPUを2024年に発売することを決定しているが、BlackwellはHPCとAI専用のGPUアーキテクチャになる可能性が高い。ゲーミングGPU(Ada Lovelace)の後継は、現在Ada Lovelace-Nextと呼ばれており、Hopper-Nextの1年後に登場する予定だ。なお、同社はゲーミングGPUのコードネームを明らかにしなかった。
NVIDIAは通常、コンシューマー向けグラフィックスカードでは2年周期でリリースしている。例えば、NVIDIAは2016年にPascal、2018年にTuring、2020年にAmpere、少し前には2022年にAda Lovelaceを発表した。もし同社がAda Lovelaceの後継機を2025年に発売するのであれば、これはNVIDIAの通常のリリース間隔を崩して3年に近づけることになり、NVIDIAが2025年初頭の発売を目指すのであれば30ヶ月ものインターバルが空くことになる。
最近のAIトレンドは、最新のH100や前世代のA100など、NVIDIAのGPUに大きな需要を生み出している。例えば、ByteDanceは今年だけで10億ドル相当のNVIDIA GPUを発注したと伝えられている。輸出規制にもかかわらず、NVIDIAは世界最大の市場のひとつである中国でAIビジネスを成長させ続けている。この規制により、NVIDIAは輸出要件を満たすために、最高のAI製品のいくつかを縮小し、H800やA800のような特定のSKUをリリースせざるを得なくなった。
だが、輸出規制は今回NVIDIAに有利に働いており、中国の顧客は、標準モデルと同等の性能を得るために、より多くのGPUを購入しなければならないことになり、結果的にNVIDIAに多くの富をもたらすという皮肉な結果になっている。
NVIDIAがゲーム用GPUよりも単価が遥かに高いコンピュート用GPUの生産を優先する理由は理解できる。最近の報道では、同社がコンピュートGPU製品の生産を増やしたとされている。NVIDIAのライバルとなるAMDはRDNA 3 GPUファミリーをリリースしているが、依然として市場シェアはNVIDIAが圧倒的であり、競争というレベルにもなっていない。新規参入のIntelは現在、ゲーミングGPUではまだ存在感を発揮していない。こうした状況はNVIDIAに有利に働き、同社はゲーマーには待ってもらうだけどの余裕があると言うことだ。
今年も来年も、Lovelaceアーキテクチャの真の後継は登場しそうにない。アップグレードを迷っているゲーマーにとっては今が買い時かも知れない。
Sources
- HardwareLuxx: Ada-Lovelace-Nachfolger erst 2025
- via WccFtech: NVIDIA’s Next-Gen “Ada Lovelace-Next” Gaming GPUs To Arrive In 2025
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