Googleはスマートテレビ機能を備えていないテレビでもYouTube等のストリーミングサービスを楽しむことが出来るスマートテレビ機能を後付け出来る機器としてChromecastを販売してきた。この長年親しまれてきた製品がついに終わりを迎え、同社は新たなストリーミングデバイス「Google TV Streamer」を発表し、これに置き換える事を決定したようだ。Google TV Streamerは、高性能な4Kストリーミング機能に加え、AIを活用したコンテンツキュレーション、そしてMatter対応のスマートホームハブ機能を備えており、リビングルームの中心的存在となることを目指した製品となっている。
新たなスマートホームハブなることを意図したGoogle TV Streamerの機能
Google TV Streamerは、従来のChromecastの優れた機能を継承しつつ、大幅な性能向上を実現している。プロセッサの処理速度は従来比22%アップし、メモリ容量は倍増の4GBとなった。32GBのローカルストレージと相まって、アプリの起動やコンテンツのロードがこれまで以上に高速化されている。また、4K 60FPSの高解像度映像出力に対応し、Dolby Vision、HDR10、HDR10+、HLGといった最新のHDR規格をサポートすることで、より鮮明で豊かな色彩表現を実現している。音声面でもDolby Digital、Dolby Digital Plus、Dolby Atmosに対応し、臨場感溢れるサウンド体験を提供する。
デバイスのデザインコンセプトも大きく変更された。従来のChromecastがテレビ背面に直接接続する小型ドングルタイプだったのに対し、Google TV Streamerはテレビ台の上に置くスタンドアロン型となっている。この設計変更により、Wi-Fi接続の安定性が向上し、有線LANポートも搭載されたことで、より安定したネットワーク環境を確保できるようになった。
しかし、Google TV Streamerの真価は、AIとスマートホーム機能の統合にある。GoogleのAI技術「Gemini」を活用し、ユーザーの視聴履歴や好みを分析して最適なコンテンツを推薦する。さらに、番組やシーズンの要約、レビューの集約など、コンテンツ選択をサポートする機能も備えている。これにより、700,000以上の映画やTV番組、800以上の無料チャンネルの中から、効率的に好みのコンテンツを見つけ出すことができる。
スマートホーム機能の強化も特筆すべき点だ。Matter規格に対応し、Threadボーダールーターを内蔵することで、様々なスマートホームデバイスとのシームレスな連携を実現している。また、Google Homeパネルがテレビ画面上に統合されたことで、Nestカメラの映像確認や、照明・温度の調整、ブラインドの開閉などが、テレビのリモコン操作で可能になった。これにより、Google TV Streamerは単なるストリーミングデバイスを超え、家庭のスマートホームハブとしての役割も果たすようになっている。
リモコンのデザインも、ユーザーフィードバックを基に一新された。人間工学に基づいた形状と、最適化されたボタン配置により、握りやすさと操作性が向上。背面にはテクスチャーを施し、よりしっかりとしたグリップ感を実現している。新たに追加されたカスタマイズ可能なボタンは、お気に入りのアプリやGoogle Homeパネルへのクイックアクセスを可能にし、ユーザー体験の向上に貢献している。
さらに、音声検索機能に加えて、リモコンの紛失時に便利な機能も搭載された。Google アシスタント対応のスピーカーやPixelスマートフォンに「Hey Google, find my remote」と話しかけると、リモコンから音が鳴る仕組みだ。また、Google TV Streamer本体のボタンやGoogle Homeアプリからもリモコンを鳴らすことができる。
Google TV Streamerは、ポーセリンとヘーゼルの2色展開で、9月24日に発売予定だ。価格は99.99ドル(約14,450円)に設定されており予約受付も開始されているが、現時点では取り扱いは米国のストアのみとなっている。
また、併せて、GoogleはChromecast製品の製造を終了することを明らかにした。 残っているデバイスの在庫はすべて販売される予定だが、在庫がなくなれば、このChromecastファミリーは終売となる。’
Googleは、Chromecastの製造は終了するものの、Chromecast with Google TVのセキュリティアップデートのサポートは継続すると付け加えている。 ストリーミングTVドングルを含むNest製品のサポートページによると、Chromecast with Google TVの4Kバージョンは少なくとも2025年9月30日まで、HDバージョンは少なくとも2027年9月22日まで、重要なセキュリティアップデートが提供される。
初代Chromecastは2013年6月に発表され、YouTubeなどのアプリを大画面テレビに「キャスト」できるように設計されていた。 2020年、Googleは最初のChromecast with Google TVドングルで、Google TVオペレーティング・システムを介してストリーミングTVアプリを提供することを決定した。 スマートフォンのアプリをテレビにキャストする方法を提供することに変わりはなかったが、接続されたドングルで映画やテレビ番組をストリーミングできるようになった。
Googleによると、最初のChromecastから11年が経ち、これらのデバイスは1億台以上販売されたという。 同社は、何千ものスマートフォンアプリを大画面でキャストできるよう、より多くのテレビにGoogle Castのサポートを追加するための投資を続けていくと述べている。 しかし、今日のGoogle TV Streamerの公開は、Googleのより廉価なChromecastの時代の終わりでもある。 より高価なGoogle TV Streamerが市場でどうなるかは興味深いところだ。
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