任天堂の次世代ゲーム機「Nintendo Switch 2」(仮称)の発売時期が、当初予想されていた2025年初頭よりも大幅に遅れる可能性が高まっている。業界関係者の情報によると、発売は早くても2025年夏、場合によっては秋以降にずれ込む可能性も示唆されており、ゲーム業界と消費者の間に大きな影響を与える可能性がありそうだ。
任天堂は開発者に対し“2024年度の次世代機発売はない”と明言
この情報は、GamesIndustryのChris Dring氏が最近の業界関係者との会話から明らかにしたものだ。Dring氏はPodcastの中で、彼が接触したすべての開発者が、Nintendo Switch 2の発売は2025年4月以降になると予想していることを報告している。これは任天堂が開発者に対し、2024年度(2025年3月末まで)の発売を期待しないよう明確に伝えたことに基づいた情報とのことだ。
任天堂は以前、2024年度末までに次世代機を「発表する」と述べていたが、具体的な発売時期については慎重に言及を避けてきた。この慎重な姿勢の背景には、製品の完成度を高めるための時間確保や、市場環境の見極めなど、複数の要因が絡んでいると考えられる。
特に注目すべきは、人気シリーズ最新作『Grand Theft Auto 6』の発売が2025年秋に予定されていることだ。Dring氏は、任天堂がこの大型タイトルとの直接的な競合を避けるため、戦略的に発売時期を調整している可能性を指摘している。GTA6の話題性が一段落する2025年冬以降の発売も、選択肢の一つとして検討されているかもしれない。
また、十分な初期出荷台数を確保し、発売初期の品薄状態を回避するための準備期間として、この時間を利用している可能性も考えられる。任天堂は過去、新製品発売時の供給不足に悩まされてきた経緯があり、この教訓を活かそうとしているのかもしれない。
一方で、この発売延期はゲーマーコミュニティに少なからぬ失望をもたらす可能性もあるだろう。初代Switchは2017年3月の発売以来、すでに1億4000万台以上を売り上げる大ヒット商品となっているが、発売から8年近くが経とうとしている中、現行のSwitchハードウェアの性能限界も指摘されており、多くのファンが新たなハードウェアでのゲーム体験を心待ちにしている状況だ。こうした次世代機への期待から、現行機の販売数も減少しており、任天堂は2024年第1四半期の大幅な減益を報告していた。
しかし興味深いことに、任天堂は現行のSwitchに対するサポートを積極的に継続している。2024年6月のNintendo Directでは、『ゼルダの伝説 知恵のかりもの』や『メトロイドプライム4 ビヨンド』、『マリオ&ルイージRPG ブラザーシップ!』といった新作タイトルの発表が行われた。さらに、HD-2D版『ドラゴンクエストIII そして伝説へ…』や『Stray』などのサードパーティタイトルも控えている。これらの動きは、次世代機への移行を慎重に進めながらも、現行ハードウェアの寿命を最大限に引き延ばそうとする任天堂の戦略を示唆している。
任天堂のこの慎重な姿勢の背景には、Switch後継機のハードウェア性能に関する懸念も存在する可能性がある。NVIDIAのチップセットを採用するとされる次世代機だが、その開発は長期化しており、発売時期が遅れれば遅れるほど、競合他社のハードウェアとの性能差が開く可能性がある。この点は、任天堂にとって難しい舵取りを迫る要因となっているかもしれない。
業界関係者やユーザーは、任天堂からの正式発表を今か今かと待ち望んでいるが、現時点では2025年夏以降の発売が最も有力なシナリオとなっている。任天堂の次の動向が、ゲーム業界全体に与える影響は計り知れず、今後の展開が注目されるところだ。
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