EU司法裁判所(CJEU)が、GoogleとAppleに対する巨額の支払い命令を支持する判決を下した。この判決は、EUの競争法執行におけるMargrethe Vestager委員の長年の取り組みを裏付けるものとなった。
EUの最高裁判決の詳細
2024年9月11日、欧州司法裁判所(CJEU)は、AppleとGoogleに関する別々の訴訟で、EUの主張を支持する判決を下した。この判決により、両社は合計で約160億ユーロ(約2.3兆円)の支払いを求められることになる。
Appleのケースでは、アイルランドにおける同社の税務処理が焦点となった。CJEUは、Appleがアイルランドで得た利益に対して実質的に0.005%という極めて低い税率で課税されていたことを問題視し、130億ユーロ(約1.9兆円)の追徴課税を命じたEU当局の決定を支持した。
この判決は、2020年にEUの下級裁判所がAppleに有利な判断を下したことを覆すものとなった。CJEUは、「特に、一般裁判所は、委員会の主要な論拠がアイルランドの税法に基づく通常の課税に関する誤った評価に基づいていると判断した際に誤りを犯した」と述べ、下級裁判所の判断を批判した。
一方、Googleのケースでは、同社の比較ショッピングサービス「Google ショッピング」に関する競争法違反が問題となった。CJEUは、Googleが自社のショッピングサービスを不当に優遇し、競合他社を不利な立場に追いやったとするEU当局の主張を認め、24億ユーロ(約3,500億円)の罰金を支持した。
この判決は、2017年にEU当局が下した決定を支持するもので、Googleが長年にわたって争ってきた案件に終止符を打つことになった。
判決の影響と今後の展開
この判決を受け、両社は強い不満を表明している。Appleは声明で、「この件は我々がどれだけの税金を払うかではなく、どの政府に支払うべきかという問題です。我々は常に、事業を展開するあらゆる場所で義務付けられた税金を全て支払っており、特別な取り決めは一切ありませんでした」と主張した。
また、Googleの広報担当者は「裁判所の決定に失望しています。この判決は非常に具体的な事実関係に関するものです。我々は2017年に欧州委員会の決定に従うための変更を行いました。我々のアプローチは7年以上にわたって成功裏に機能し、800以上の比較ショッピングサービスに数十億回のクリックをもたらしています」とコメントした。
一方、EUの競争政策担当委員であるMargrethe Vestager氏は、この判決を「欧州市民と税の公正さにとっての大きな勝利」と評し、「我々は引き続き押し進め、支配的地位の濫用を追及していく」と警告した。
この判決は、EUがテクノロジー企業に対する規制を強化する中で大きな意味を持つ。3月には、EUはGoogleを含む複数のテック企業がデジタル市場法(DMA)にどの程度準拠しているかを評価する調査を開始した。また最近では、AppleのApp Storeの開発者向け利用規約の一部がDMAに違反している可能性があるという暫定的な結論を下している。
今回の判決は、EUのデジタル政策の方向性を強く裏付けるものとなり、今後、他のテクノロジー企業に対する規制や調査にも影響を与える可能性が高い。テクノロジー業界は、より厳格な規制環境への適応を迫られることになりそうだ。
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