Appleの次世代フラッグシップスマートフォン、iPhone 16 ProとiPhone 16 Pro Maxに搭載される予定のA18 Proチップの最新ベンチマーク結果が明らかになった。だが、今回のテスト結果は興味深い物で、新チップが前世代のA17 Proを性能面で上回るものの、電力効率に関して予想外の課題を持つ事が示されているのだ。
A18 Proの性能向上: 13%の速度アップを達成
中国の動画サイトBilibiliに小白氏によって投稿された動画の中で、A18 Proを搭載したiPhone 16 Proのベンチマークテストが行われている。同氏が実行したGFXBench Aztec Ruinsベンチマークテストにおいて、A18 Proは72FPSを記録し、前世代のA17 Pro(64FPS)と比較して約13%の性能向上を示した。このテストは1440p解像度でGPUに高負荷をかけるHigh Tier設定で実施されており、A18 Proの優れたグラフィック処理能力を証明している。
さらに、同じテストでiPhone 16の標準モデルに搭載されるA18チップが62FPSであったことも示され、A18 Proは同じAppleシリコンファミリーに属するA18と比較しても16%高速であることが判明した。これは、A18 Pro(6コアGPU)とA18(5コアGPU)のGPUコア数の差がそのまま結果として表れたと言えるだろう。
この結果は、A18 Proが現時点でAppleのスマートフォン向けチップセットの中で最高性能を誇ることを裏付けている。以前のGeekbench 6のMetalベンチマークでも、A18 ProはA17 Proを18%上回る結果を示しており、今回のGFXBenchの結果とも整合性がある。
A18 Proに予想外の電力効率の課題
しかし、A18 Proの性能向上には代償が伴うことも明らかになった。ベンチマークテスト中、A18 Proは11.5Wの電力を消費していたことが報告されている。これは、A17 Proの消費電力である9.72Wを大きく上回っている。
この結果、A18 Proの「パフォーマンス/ワット比」は前世代のA17 Proを下回ることとなった。TSMCの第2世代3nmプロセスで製造されているA18 Proにとって、これは予想外の結果と言える。
消費電力の増加には複数の要因が考えられる:
- 性能重視の設計: Appleが最高スコアを追求するために、チップの電力制限を緩和した可能性。
- 改善された冷却設計: iPhone 16 ProとiPhone 16 Pro Maxの改良された熱設計により、チップがより高い電力で動作できるようになった可能性。
ただし、GFXBenchのようなベンチマークテストはチップセットの限界を試すように設計されているため、日常的な使用でこれほどの電力消費が発生する可能性は低い。しかし、AAA級のゲームをネイティブで実行する際には、A18 Proは高い消費電力を示す可能性がある。その代わりに、A17 Proよりも優れたパフォーマンスと熱制御を提供できると予想される。
Xenospectrum’s Take
A18 Proの最新ベンチマーク結果は、スマートフォンチップセット開発の複雑さを浮き彫りにする物と言えるだろう。性能向上と電力効率のバランスを取ることは、チップ設計における永遠の課題だ。
Appleが消費電力の増加を認識した上で性能向上を優先したのか、あるいはこれは予期せぬ結果なのかは不明だが、この結果は将来のiPhoneモデルにおけるバッテリー持続時間や熱管理に影響を与える可能性もあるだろう。
一方で、改善された熱設計により、実際の使用シーンではこの電力消費の増加が問題にならない可能性も考えられる。特にゲーミングなど高負荷なタスクでは、A18 Proの高い性能が活きてくるだろう。
今後、A18 Proを搭載したiPhone 16 Proシリーズが実際にどのようなパフォーマンスと電力効率を示すのか、実機でのテストや長期的な使用レポートに注目が集まりそうだ。
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