Appleの最新プロセッサA18 Proが、iOS 18.1の開発者向けベータ5及びパブリックベータ2においてベンチマークテストの結果に有意なスコア向上が見られることが明らかになった。この改善によって、A18 Proは、MacBook Airなどのラップトップコンピューターに搭載されているM2チップに迫るスコアを見せている。
A18 ProのiOS 18.1ベータ5での性能向上
技術評論家Dame Techによる最新のベンチマークテストで、A18 Proの性能が大幅に向上していることが判明した。Geekbench 6を使用したテストでは、A18 Proはシングルコア・スコアで3,601ポイント、マルチコア・スコアで9,388ポイントを記録した。これは、以前のバージョンと比較して著しい向上と言えるだろう。
実際に筆者も確認してみたところ、iPhone 16 Pro Maxにおいて、iOS 18.1パブリックベータ1とパブリックベータ2ではGeekbench 6のスコアに差が生じていることが確認出来た。シングルコアでは6%前後、マルチコアでは8%前後のスコアアップだ。
この結果は、AppleがiOS 18.1ベータ5において、CPUのブースト周波数の遅延を調整した可能性を示唆している。以前のバージョンでは、バッテリー消費を抑えるためにパフォーマンスを若干抑制していたが、今回の更新でその方針を変更したと考えられる。バッテリー持続時間とパフォーマンスのバランスを取りつつ、ユーザーにより高い処理能力を提供する方向に舵を切ったようだ。
A17 Proも性能向上、AppleのCPU戦略の変化
興味深いのは、A18 Proだけでなく、昨年のiPhone 15 ProとiPhone 15 Pro Maxに搭載されているA17 Proチップも、iOS 18.1ベータ5及びパブリックベータ2で性能向上が確認された。これは、Appleが最新のiPhoneだけでなく、前世代のモデルにも性能改善を施していることを示している。ただし、iOS 17の時の水準に戻ったと言えなくもないため、Appleは批判を受けて元に戻したとも言えそうだ。
しかし、この性能向上が最終的なiOS 18.1の正式リリースでも維持されるかどうかは不明である。Appleは、ユーザーフィードバックやさらなるテストの結果に基づいて、最終的な調整を行う可能性がある。
一方で、A18 Proの性能向上は印象的ではあるものの、現時点で最速とされるQualcommのSnapdragon 8 Gen 4には及ばないことも指摘されている。これは、モバイルプロセッサ市場における競争の激しさを示すとともに、Appleが今後さらなる性能向上を目指す余地があることを示唆している。
AppleのこうしたCPU性能調整戦略の変化は、モバイルデバイスの性能に対するユーザーの期待の高まりや、競合他社との差別化を図る必要性を反映していると考えられる。同時に、バッテリー寿命と処理性能のバランスをいかに取るかという課題に対する、Appleの新たなアプローチを示しているとも言えるだろう。
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