AMDの次世代プロセッサRyzen 9000シリーズのベンチマークテスト結果が続々リークされている。今回Geekbench Browserに登場したのは、中堅モデルの「Ryzen 7 9700X」と、エントリーモデルの「Ryzen 5 9600X」だ。どちらも、シングルコア性能でIntelの最新チップを上回り、前世代のAMD製品と比較して大幅な性能向上を達成している。これは、AMDの次世代アーキテクチャ「Zen 5」の優秀さを物語る物だ。
Zen 5の強力なシングルコア性能がいかんなく発揮されている
AMDの新しいRyzen 9000シリーズプロセッサは、7月31日の正式発売を前に、ベンチマーク結果のリークによって徐々に明らかになってきている。今回登場した、Ryzen 7 9700XとRyzen 5 9600Xの性能は特に注目すべきだろう。
Ryzen 7 9700Xは8コア16スレッドを搭載し、ベースクロックが3.8GHz、最大ブーストクロックが5.54GHzで動作する。一方、Ryzen 5 9600Xは6コア12スレッドで、ベースクロック3.9GHz、最大ブーストクロック5.47GHzとなっている。両プロセッサとも32MBのL3キャッシュを備えている。
Geekbench 6のベンチマークテストでは、以下のような結果が得られた:
プロセッサ | クロック速度 (ベース / ブースト) | コア / スレッド | シングルコア | マルチコア |
---|---|---|---|---|
AMD Ryzen 7 9700X | 3.8 GHz / 5.5 GHz | 8 / 16 | 3370 | 16329 |
AMD Ryzen 7 7700X | 4.5 GHz / 5.4 GHz | 8 / 16 | 2912 | 15272 |
Intel Core i7-14700K | 3.4 GHz / 5.6 GHz | 8+12 / 16+12 | 2945 | 19275 |
AMD Ryzen 5 9600X | 3.9 GHz / 5.4 GHz | 6 / 12 | 3284 | 14594 |
AMD Ryzen 5 7600X | 4.7 GHz / 5.3 GHz | 6 / 12 | 2868 | 12825 |
Intel Core i5-14600K | 3.5 GHz / 4.0 GHz | 6+8 / 12+8 | 2798 | 15881 |
この結果から、Ryzen 7 9700XはRyzen 7 7700Xと比較してシングルコア性能で約15%、マルチコア性能で約7%の向上を示している。同様に、Ryzen 5 9600XもRyzen 5 7600Xと比べて、シングルコア性能で約15%、マルチコア性能で約14%の向上を達成している。
特筆すべきは、これらのプロセッサがIntelの最新チップ、特にCore i9-14900KSを含む14世代Coreプロセッサをシングルコア性能で上回っている点だ。Ryzen 7 9700Xは、Core i9-14900KSを約4%上回る性能を示している。
しかし、マルチコア性能においては、Intelのハイブリッドアーキテクチャ(Pコア / Eコア)を採用した14世代Coreプロセッサが依然として優位性を保っている。例えば、Core i7-14700Kは、Ryzen 7 9700Xを大きく上回るマルチコア性能を示しており、特定のワークロードにおいてはIntel製品の優位性がまだ残されていることが分かる。
また、これらの新Ryzenプロセッサの注目すべき特徴として、より低いTDP(熱設計電力)での動作が挙げられる。Ryzen 7 9700Xは前世代の105Wから65WへとTDPを大幅に抑えながら、性能向上を実現している。これは、エネルギー効率の面でも顕著な進歩を示すものであり、環境への配慮と高性能の両立を図るAMDの姿勢が垣間見える。
ただし、これらのベンチマーク結果はあくまで理論上の性能を示すものであり、実際の使用環境での性能は、アプリケーション側での最適化など、様々な要因によって変動する可能性がある点に留意が必要だ。
AMDのRyzen 9000シリーズは、7月31日に正式発表される予定だ。これらの初期ベンチマーク結果は非常に有望だが、最終的な評価は、実際の製品が市場に出た際の詳細なレビューや、より広範なベンチマークテスト、実世界での性能評価を待つ必要がある。そしてもちろん、不具合がなく快適に使えることも望むべく要素だ。
Sources
- Geekbench Browser:
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