AMDの2025-2026年に向けたモバイルCPUおよびGPUの計画が新たなリーク情報から明らかとなった。同社のRyzenおよびRadeonシリーズでは、次世代アーキテクチャ「RDNA 3.5」を搭載したAPUリフレッシュや新型GPUを含む多様な製品ラインを準備しているようだ。
AMDのエンスージアスト向けモバイルAPU「Ryzen AI MAX 300」とFire Range
AMDは2025-2026年に向けて、モバイル市場向けのAPUリフレッシュ版とともに、ハイエンドAPU「Strix Halo」のリリースを予定している。
Strix Haloは、プレミアムコンテンツクリエーション、ワークステーション、ゲーミングを統合的にカバーする次世代プラットフォームとして位置付けられている。AMDの最新GPUアーキテクチャ「RDNA 3.5」をベースとし、最大で40基のCompute Unit (CU)を搭載する強力な内蔵GPU「Radeon 8000S」が搭載されるとされている。CUはGPUの計算ユニットであり、多くのCUを搭載することで並列処理能力が向上し、高度なグラフィックス処理を可能にする。
AMD Ryzen AI MAX 300 Strix Halo の予想される機能と仕様:
- Zen 5 チップレット設計
- 最大16コア
- 64 MBの共有L3キャッシュ
- 40 RDNA 3+ コンピューティング ユニット
- 32 MB MALL キャッシュ (iGPU 用)
- 256 ビット LPDDR5X-8000 メモリ コントローラ
- XDNA 2エンジン統合
- 最大60 AI TOPS
- 16 PCIe Gen4 レーン
- 2024年後半発売予定
- FP11 プラットフォーム (55W-130W)
「RDNA 3.5」は、現行のRDNA 3をベースにさらなる最適化と改良が施されたものだ。RDNAアーキテクチャは、特に消費電力あたりのパフォーマンスが優れている点が特徴で、RDNA 3.5もそれを引き継ぎ、パフォーマンスと省電力性のバランスが一層向上している。既にZen 5ベースの「Strix Point」ことRyzen AI 300シリーズAPUにも搭載されており、搭載デバイスも出回り始めている。
また、Strix Haloは最大8,000 Mbpsの転送速度を誇る次世代メモリー、LPDDR5X-8000をサポートすることが予想されており、これによりモバイル環境で高性能かつ省電力のグラフィックス処理を実現できる。
Strix Haloは、FP11ソケットを採用したRyzen AI MAX 300シリーズとして市場に登場すると見込まれている。Ryzen AI MAX 300シリーズは、AI処理性能の向上を目指して設計されたAPUであり、AIアクセラレーションに特化した専用エンジンの搭載が予想される。これにより、リアルタイム画像処理や機械学習、音声認識といったAIタスクがモバイルデバイス上で効率よく処理され、エッジコンピューティング環境でも高いパフォーマンスを発揮できる点が期待される。AMDは、Intelが市場で展開しているAI対応プロセッサとの競争を視野に入れており、これによりモバイル市場におけるシェア拡大を目指すと考えられる。
SKU | アーキテクチャ | コア数/スレッド数 | GPUコア | |
---|---|---|---|---|
Ryzen AI Max+ 395 | Zen 5 / RDNA 3.5 | 16 / 32 | 40 CU(Radeon 8060S) | 55-130W |
Ryzen AI Max 390 | Zen 5 / RDNA 3.5 | 12 / 24 | 40 CU (Radeon 8060S) | 55-130W |
Ryzen AI Max 385 | Zen 5 / RDNA 3.5 | 8 / 16 | 32 CU (Radeon 8050S) | 55-130W |
Ryzen AI Max 380 | Zen 5 / RDNA 3.5 | 6 / 12 | 16 CU (Radeon 8XXXS) | 55-130W |
加えて、Zen 4コアアーキテクチャをベースに最大16コアを搭載したDragon Range CPUの後継となる「Fire Range」という製品も計画しているようだ。
Fire Rangeラインナップは、Zen 5コアアーキテクチャをベースとし、同じFL1フォームファクターで、メモリサポートをDDR5-5200からDDR5-5600に引き上げ、X3Dバージョンも提供される予定である。注目すべき点として、Fire RangeはDragon Range(Ryzen 7045HX)の完全な後継ではなく、少なくとも2026年までは並行して展開される。
AMDのメインストリーム Ryzen APU プラットフォーム
AMDの次期メインストリーム向けRyzen APUは「Krackan Point」と「Hawk Point (Rename)」が2025年にデビューする。
Krackan Pointは、現行のRyzen AI 300シリーズのRyzen AI 9 HX 370やRyzen AI 9 365の下位に位置するメインストリーム向けと位置づけられている製品だ。Strix Pointと比較して、Zen 5cコアが4基、RDNA 3.5 CUが半分に削減された製品となっている。Hawk Point(Ryzen 8040)の後継であり、CES 2025での登場が予想される。
Krackan Point (Ryzen AI 300):
- Zen 5モノリシック設計
- 最大8コア(Zen 5 x4 + Zen 5c x4)構成
- 8基のRDNA 3.5 CU搭載
- LPDDR5X-8000 + DDR5対応
- XDNA 2エンジン統合
- 最大50 AI TOPS
- 2025年上半期発売
- FP8プラットフォーム(15W-45W)
- Windows Copilot+認証
また、2025年にはHawk Pointのリブランド版が「Ryzen AI 200」としてデビューするようだ。8基のZen 4コア、16スレッド、最大12基のRDNA 3コンピュートユニット、LPDDR5X-7500またはDDR5-5600メモリ対応を特徴とする。エントリー版として位置づけられており、AI処理性能も削減されており、NPUは16TOPSのため、Copilot+認証は取得しない。
2026年には、AMDはStrix PointとKrackan Pointファミリーを、マイナーアップデートを加えてRyzen AI 400シリーズとしてリフレッシュする予定のようだ。
リークは次期AMD RDNA 4モバイルGPUについても触れているが、これについては別記事でご紹介する。
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