AMDの次世代ハイエンド・デスクトップ(HEDT)プロセッサ、「Ryzen Threadripper 9000」シリーズの存在が明らかになった。コードネーム「Shimada Peak」として知られるこの新型CPUは、AMD最新のZen 5アーキテクチャを採用し、最大96コア192スレッドという驚異的な仕様を持つ可能性が高い。この情報は、NBDと呼ばれる出荷マニフェストプラットフォームから浮上したものだ。
Ryzen Threadripper 9000「Shimada Peak」の登場によりHEDT市場が再び活性化されるか
Ryzen Threadripper 9000シリーズは、AMDの次世代HEDTプロセッサラインナップとして登場すると見られている。この新型プロセッサの中核となるのは、最新のZen 5アーキテクチャだ。Zen 5アーキテクチャ自体が、平均で16%のIPC(Instructions Per Clock)スループット向上を実現するとのことで、これがThreadripper 9000の性能にどのように反映されるかが大きな注目点となっている。
Threadripper 9000の最上位モデルは、12個のCCD(Core Complex Die)を搭載し、各CCDには8コアと32MBのL3キャッシュが内蔵されている。この構成により、プロセッサ全体で384MBという膨大なL3キャッシュを実現している。この大容量キャッシュは、データ集約型のワークロードやマルチタスク処理において大きな性能向上をもたらすと期待されている。
現行のZen 4ベースのThreadripper 7000シリーズとの比較において、Threadripper 9000は同じコア数とスレッド数を維持しつつ、アーキテクチャの進化による性能向上を図っている。これは、AMDが既に高い評価を得ている現行モデルの強みを活かしつつ、さらなる性能向上を目指していることを示唆している。
ソケットについては、現行のsTR5ソケットとの互換性が予想されている。これにより、既存のThreadripper 7000シリーズユーザーにとっては、マザーボードを交換することなく新型プロセッサへのアップグレードが可能になる可能性が高い。また、チップセットについても、現行モデルと同様にTRX50とWRX90の2種類が提供される見込みだ。TRX50は4チャンネルのメモリサポートを提供し、主にHEDT市場向けとなる一方、WRX90は8チャンネルのメモリサポートを提供し、ワークステーション市場をターゲットとしている。
Threadripper 9000シリーズの具体的な性能については、まだ詳細が明らかになっていない。しかし、Zen 5アーキテクチャの特性から、特にワークステーションやサーバー向けアプリケーションでの大幅な性能向上が期待されている。機械学習、データベース処理、高性能コンピューティング(HPC)、暗号処理などの分野で、現行モデルを大きく上回る性能を発揮する可能性が高い。
一方で、電力効率や熱設計についても注目が集まっている。現行のThreadripper Pro 7995WXが350WのTDPを持つことを考えると、Threadripper 9000シリーズも同程度のTDPを維持する可能性が高い。しかし、Zen 5アーキテクチャの採用により、同じTDP内でより高い性能を実現できる可能性もある。
Ryzen Threadripper 9000シリーズの発売時期については、AMDの公式ロードマップにまだ記載されていないことから、2025年以降になる可能性が高いとされている。しかし、業界では、2024年10月10日に予定されているAMDのイベントや、2025年1月のCES(Consumer Electronics Show)で何らかの発表がある可能性も指摘されている。
AMDは現在、Ryzen AI 300 PRO、EPYC Turin、Instinct MI325Xなど、複数の新製品の発表を準備していると言われている。Ryzen Threadripper 9000シリーズがこれらの製品ラインナップにどのように組み込まれ、AMDの製品戦略全体にどのような影響を与えるかも、今後の大きな注目点となるだろう。
Sources
- Everest
- via Overclock 3D: Next-Generation 96-core Zen 5 Ryzen Threadripper CPU spotted
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