Appleは、M3チップを搭載した新型iPad Airを発表した。M1搭載モデルと比較して最大2倍の処理性能を実現し、ファンクションキー列を備えた新型Magic Keyboardも同時リリース。発売は3月12日(水)から、価格は従来モデルと同じく11インチが98,800円から、13インチが128,800円からとなる。
M3搭載新型iPad Airの概要とスペック
新型iPad Airは引き続き11インチと13インチの2サイズで展開され、カラーバリエーションはブルー、パープル、スターライト、スペースグレイの4色。ストレージ容量は128GB、256GB、512GB、1TBの4種類から選択可能だ。
本体デザインやディスプレイ仕様は前モデルから変更はなく、主な変更点はM2からM3へのチップセットアップグレードとなる。60Hzリフレッシュレートのディスプレイや12MPフロント・リアカメラ、Touch ID搭載の電源ボタン、USB-Cポート、Wi-Fi 6E、Bluetooth 5.3といった仕様は維持されている。
バッテリー駆動時間も前モデルと同等レベルを維持している。予約は発表と同時に開始され、実際の販売は3月12日(水)からとなる。学生・教職員向けには11インチモデルが90,800円から、13インチモデルが120,800円からの特別価格が設定されている。
M3チップによる性能向上

今回のアップデートの目玉はM3チップへの移行だ。Appleによると、M3搭載iPad Airはこれまでの性能を大きく上回り、M1搭載モデルと比較して全体で約2倍、A14 Bionicモデルと比較して最大3.5倍の性能向上を実現している。
具体的な性能向上としては、M1比でマルチスレッドCPUパフォーマンスが35%向上、9コアGPUによるグラフィックス性能が40%向上、Neural Engineによる機械学習処理速度が60%向上している。前モデルのM2チップと比較した場合は、約20%の性能向上と予測されるが、Appleは公式にM2との比較データを公表していない。
特筆すべきは、iPad Airシリーズとして初めて高度なグラフィックス技術に対応した点だ。「Dynamic Caching」(グラフィック処理の効率化技術)、「ハードウェアアクセラレーテッドメッシュシェーディング」(3Dオブジェクトの表面描画を高速化する技術)、「レイトレーシング」(光の動きをシミュレートしてよりリアルな映像を生成する技術)といった機能が追加された。これにより、グラフィックス集約型のレンダリング作業ではM1モデルと比較して最大4倍のパフォーマンスを発揮するとされる。
新型Magic Keyboardの進化

新型iPad Airの発表と同時に、新しいMagic Keyboardも発表された。新設計のMagic Keyboardは、より大きなトラックパッドと新たに14キーのファンクション列を備えており、画面の明るさや音量調整などの機能に簡単にアクセスできるようになっている。
前モデルと比べて軽量化・薄型化されたが、iPad Pro用Magic Keyboardに搭載されているバックライトやハプティックフィードバックは含まれていない。Smart Connectorによる接続方式は維持され、Bluetoothなしで即座に電源・データ接続が可能。また、アルミニウム製ヒンジにUSB-C充電ポートも備えている。

価格は11インチモデル用が46,800円、13インチモデル用が49,800円で、カラーはホワイトのみとなる。これは前モデルよりも3,000円安い価格設定だ。
注目すべき点として、この新型Magic Keyboardは互換性が高く、第4世代・第5世代iPad Air、11インチのM2・M3 iPad Pro、13インチのM2・M3 iPad Proなど、複数の旧モデルでも使用可能となっている。
Apple Intelligence対応

M3チップ搭載のiPad Airは、Appleの新しいAI機能「Apple Intelligence」に対応している。Apple Intelligenceは、プライバシーを重視した設計の個人向けインテリジェンスシステムで、写真アプリのクリーンアップツール(不要な要素を消去)や自然言語での検索、メモアプリの画像マジックワンド(スケッチを美しい画像に変換)などの機能を提供する。
Neural Engineの高速化により、これらのAI機能がM1モデルと比較して最大60%高速に動作する。また、ChatGPTとの統合も実現し、アカウント作成なしで無料アクセスが可能となっている。プライバシー保護のため、ユーザーのIPアドレスは匿名化され、OpenAIはリクエストを保存しない設計となっている。
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