Appleが開発を進めている全く新しい製品の情報が明らかになった。同社は、iPadのような大型ディスプレイにロボットアームを組み合わせた製品の開発を進めているという。この未発表のデバイスは、単なるタブレットの進化形にとどまらず、スマートホームの中枢として機能し、ビデオ通話や家庭のセキュリティ監視など、多岐にわたる用途に対応することが期待されている。
Apple Intelligenceを駆使しスマートホームの中枢として機能する
BloombergのMark Gurman氏は、内部情報に詳しい関係者からえた情報として、このプロジェクトの存在を報告している。同氏によれば、Appleは数百人規模のチームを編成し、この新デバイスの開発に全力を注いでいるとのことだ。プロジェクトの指揮を執るのは、Apple Watch開発の経験を持つKevin Lynch氏で、同氏は2013年にAdobeのCTOからAppleに転じ、最近まではAppleの人工知能グループを率いていた経歴を持つ人物だ。彼の起用は、このプロジェクトがAppleにとって戦略的に重要であることを示唆していると言えよう。
デバイスの中核を成すのは、iPadのような大型ディスプレイと、それを支える細いロボットアームの組み合わせだという。このアームは高度な機能を備えており、ディスプレイを上下に傾斜させたり、360度回転させたりすることができる。これにより、ユーザーの動きに合わせてディスプレイの向きを自動的に調整することが可能になる。こうした大画面ディスプレイが状況に合わせて稼働するという製品は、既にAmazonが「Echo Show 10」で実現しているが、Appleは更に可動式のアームを備えるという点でより柔軟な動きが行えそうだ。
機能面では、FaceTimeなどのアプリを通じたビデオ会議機能や、家庭のセキュリティ監視ツールとしての役割が想定されている。さらに、SiriやAppleのAI機能「Apple Intelligence」を駆使し、様々な音声コマンドに応答したり、複数の話者の声を識別したりする能力も備える予定だ。
開発コードネーム「J595」で進められているこのプロジェクトは、2022年にAppleの経営陣によって承認されたが、本格的な開発が加速したのはここ数ヶ月のことだという。当初は、このような革新的なデバイスに高額な投資をする消費者がいるかどうか、また、その機能を実現するためのソフトウェア開発に必要なリソースの確保など、社内でも懸念の声があがっていた。しかし、Tim Cook CEOやJohn Ternus ハードウェアエンジニアリング責任者の支持を得て、プロジェクトは前進することとなった。
Appleは2026年か2027年の発売を目指しているとされるが、同社の製品開発の歴史を考えると、遅延の可能性も否定できない。価格は約1,000ドルになると予想されている。
しかし、Appleの新製品開発には課題もある。今年初めに発売されたApple Vision Proは、3,499ドルという高価格が障壁となり、2024年7月時点で10万台も売れていないという。当初の年間50万台という販売目標を大きく下回っているのだ。この経験は、新デバイスの成功には適切な価格設定が重要であることを示している。
また、技術的な課題も存在する。小さなスタンドの上でロボットモーターの重量バランスを取ることは容易ではない。さらに、ユーザーにとって本当に魅力的な機能を提供できるかどうかも鍵となる。単なる「ロボットアーム付きの画面」以上の価値を示せるかが、このデバイスの成否を左右するだろう。
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