ASUSが、AMD Ryzenプロセッサーの高コア構成CPUにおけるゲーミング性能を最適化する新機能「Turbo Game Mode」をAM5マザーボード向けBIOSアップデートで導入した。この新機能は、第2のCPUチップレット(CCD)と同時マルチスレッディング(SMT)を無効化することで、高コア数による恩恵を受けにくいゲームタイトルでのパフォーマンスを向上させることを目的としている。
機能の詳細と対応モデル
Turbo Game Modeの主要な機能は、デュアルチップレット構成を持つRyzen 9シリーズなどのプロセッサーにおいて、第2チップレットとSMTを無効化することである。シングルチップレット構成のCPUの場合は、SMTの無効化のみが適用される。この設定により、特定のゲームタイトルにおいて最適な性能を引き出すことが可能となる。
現在、ROG X870E Crosshair Heroを含む特定のASUSマザーボードで、BIOSバージョン0605 Beta以降での対応が確認されている。また、X670、B650、A620シリーズのマザーボードについても、順次アップデートが展開される予定だ。
性能向上の仕組みと期待される効果
この最適化アプローチは、必ずしもすべてのコアを活用できないゲームタイトルに対して特に効果を発揮する。高コア数構成では、未使用コアが逆にパフォーマンスを低下させる可能性があるため、より少数の高速なコアに処理を集中させることで、レイテンシの低減とゲーミング性能の向上が期待できる。
同様の機能を先行して導入したGigabyteの「X3D Turbo Mode」では、Ryzen 7000X3D、Ryzen 9000X3D、およびRyzen 9000プロセッサーで最大20%から35%のパフォーマンス向上が報告されている。ASUSの実装でも、同等の性能向上が期待できる可能性がある。
Xenospectrum’s Take
このTurbo Game Modeの導入は、マルチコアCPUの進化とゲームソフトウェアの最適化の間に存在するギャップに対する現実的な解決策として評価できる。特に注目すべきは、ユーザーが作業内容に応じて簡単に設定を切り替えられる柔軟性である。マルチスレッド性能が重要なクリエイティブワークとゲーミング性能の両立を、BIOSレベルで実現した点は画期的である。
ただし、この機能はベータ版として提供されている点には注意が必要である。安定性の検証はまだ進行中であり、すべてのゲームタイトルで同様の効果が得られるとは限らない。今後のBIOSアップデートによる最適化と、より広範なゲームタイトルでの検証結果の公開が待たれる。
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