AMDが来月発売する、Ryzen 9000シリーズのエントリーモデル「Ryzen 5 9600X」のベンチマークテスト結果がいくつか明らかになった。テストされたのはエンジニアリング・サンプルではあるが、期待の「Zen 5」アーキテクチャの性能を垣間見ることが出来る結果を示している。
驚きのキャッシュ帯域幅
有名なリーカーHXL氏がXに投稿した内容は、Tencent QQからの情報のようだ。CPU-Zの情報やベンチマークテスト結果、AIDA64のベンチマークテストが共有されている。
CPU-Zの情報からは、これがRyzen 5 9600X(コードネーム、Granite Ridge)のエンジニアリング・サンプルである事が読み取れる。4nmプロセスで製造され、L2キャッシュは6MB、L3キャッシュは32MBだ。
CPU-Zのベンチマークテストの結果は余りふるわないものだ。シングルスレッド・スコアで775.9、マルチスレッド・スコアは6201.3とのことだ。比較として、前モデルのRyzen 5 7600Xはシングルスレッド・スコアが746、マルチスレッド・スコアは6221だ。ここで大きくスコアが伸びていないのはエンジニアリング・サンプルという性質により最適化が進んでいないこともありそうだ。ただし、TDPは105Wから65Wへと大幅に下がっていることは注目に値するだろう。
だが、AIDA64でのパフォーマンス向上には目を見張るものがある。
大きな変化が見られるのは、キャッシュの部分だ。それぞれのキャッシュ帯域幅は以下の通りとなっている。
L1キャッシュ帯域幅(GB/s) (読み取り/書き込み/コピー/レイテンシ)
- Ryzen 5 9600X (ES): 3756.4 / 1884.4 / 3755.9 / 0.8ns
- Ryzen 5 7600X: 2029.6 / 1026.9 / 2048.1 / 0.7ns
L2キャッシュ帯域幅(GB/s) (読み取り/書き込み/コピー/レイテンシ)
- Ryzen 5 9600X (ES): 1874.6 / 1795.1 / 1859.7 / 2.8ns
- Ryzen 5 7600X: 1028.5 / 1017.0 / 1017.6 / 2.6ns
L3キャッシュ帯域幅(GB/s) (読み取り/書き込み/コピー/レイテンシ)
- Ryzen 5 9600X (ES): 782.08 / 771.46 / 772.32 / 10.1ns
- Ryzen 5 7600X: 847.82 / 854.86 / 822.01 / 9.7ns
L3キャッシュは、前モデルRyzen 5 7600Xから低下しているが、L1、L2キャッシュは2倍近いスコアを記録しているのが印象的だ。
実際にAMDもキャッシュメモリ帯域幅が2倍に向上していると述べており、この主張に近い数字をたたき出しているわけだ。
Zen 5搭載Ryzen 9000シリーズは2024年7月にも発売の予定だ。ラインナップはエントリーモデルのRyzen 5 9600X(6C/12T)を含む、Ryzen 9 9950X(16C/32T)、Ryzen 9 9900X(12C/24T)、Ryzen 7 9700X(8C/16T)となっている。
Source
- X: HXL氏のポスト
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