世界最大のバッテリーメーカーである中国CATLは、大規模蓄電システム「TENER」を発表した。同社によればTeslaのMegapackの2倍のエネルギー容量を持ち、更に同社によれば、5年後の劣化もゼロだという。
日常的にスマートフォンをご利用の方ならばお分かりのように、リチウムベースのバッテリーは充放電を繰り返す度に少しずつ蓄電できるエネルギー容量が低下していく。2年くらい使っていると新品の時と比較して明らかにバッテリーもちが悪くなっていることが感じられるだろう。劣化ゼロはバッテリーの夢だ。
CATLは、TENERの開発によって、最初の5年間は劣化なく使用できることを約束している。
TeslaのMegapackは世界の大規模エネルギー貯蔵プロジェクトのほとんどに採用されている、この分野のグローバルスタンダードだ。これまで実質的なライバルのいない状態だったが、今回TENERの登場はここに一石を投じることになるかも知れない。
TENERはTeslaのMegapackの様な大型の金属製の箱に収められたバッテリーパックだ。CATLは、高さは6メートル相当あり、コンテナ内には6.25MWhのLシリーズ長寿命リン酸鉄リチウム電池を収容し、430Wh/Lのエネルギー密度を実現している(ちなみにTesla Megapackの容量は3.9MWh)。
CATLによると、5年後でも劣化ゼロという長寿命を実現した背景には、電極に「生体模倣型」固体電解質界面層と「自己組織化電解質技術」を採用することで、出力や容量の低下を招くことなくリチウムイオンの移動を可能にした事にあると言う。これは、同時に熱暴走を効果的に防止する事にも寄与するとのことだ。TENERユニットの充放電サイクル寿命は15,000回を超えると報告されており、20年の運転寿命が期待出来るとのことだ。
CATLによれば、さまざまな送電網の設定に応じて蓄電システムの安全性をテストするプラットフォームが開発され、AIの助けを借りて設置後のプロジェクトを継続的に監視するという。CATLはまた、TENERシステムに配備されたセルの故障率を大幅に低減することに成功したとしており、運転期間の延長、運転コストの低減、投資収益率の向上を約束し、顧客に訴求している。
CATLは、2011年から張北の風力/太陽エネルギー貯蔵施設に関わり、2020年には錦江発電所の第1フェーズで屋内に移動し、テキサス州でも巨大な液冷バッテリー貯蔵プロジェクトに着手している。なお、TENERシステムの価格は明らかにされていないが、CATLは競争力のある価格で世界市場を席巻している。
Source
コメント