中国最大の半導体製造会社であり、HuaweiのパートナーであるSMIC(Semiconductor Manufacturing International Corporation)は、TSMCやSamsungらが用いているような、最先端の半導体製造装置であるEUV(極端紫外線)リソグラフィを用いることなく(と言うか手に入らないために使えない)その前の世代となるDUV(深紫外線)リソグラフィ装置によって、5nmプロセスでの半導体製造に成功し、最初のウェハーバッチの量産準備が整った事が報じられている。
SMICの5nmはコスト度外視か?
SMICは米国の輸出規制により、米国はもとより、オランダや日本の企業からも半導体製造装置を手に入れる事が出来ない。特にオランダのASMLが世界で唯一製造しているEUVリソグラフィ装置は、特に5nm移行の半導体製造には不可欠と言われている。
SMICはこうした状況にあるが、中国政府の支援を受け、パートナーのHuaweiのために、輸出規制以前に手に入れた製造装置を使って2022年には7nmプロセスの開発に成功している。そして今回5nmプロセスの開発に成功したようだ。
SMICとHuaweiは、マルチパターニングによる5nmプロセスの生産に協力して取り組んでいる事が以前報じられていた。これは、self-aligned quadruple patterning (SAQP)と呼ぶ特許を取得した手法によって可能になった可能性がある。ただし、マルチパターニングを実際に実施するのは容易ではなく、歩留まりを許容レベルにコントロールすることが最大の課題であり、これを克服することが出来ず、多くのメーカーがマルチパターニング・プロセスで失敗している。
これが可能になったとしても、今度はコストの問題がある。7nmプロセスの段階でも、DUVリソグラフィ装置での製造はEUVでの製造に比べてコストが4倍以上かかってしまうのだ。5nmプロセスについても同様にDUVでの生産コストはEUVと比較して高くなることが予想される。また、歩留まりについてもEUVと比べて低くなると専門家は指摘している。一説では、TSMCの3分の1以下の歩留まりで、価格は50%高くなるという。
SMICはこれによって今後数年は5nmプロセスを採用する事が見込まれるが、それに留まるつもりもなく、DUVによる3nmプロセスの研究も進めているようだ。そしてHuaweiも欧米に頼らない独自のリソグラフィ装置の開発を進めていることも噂されている。
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