Googleは人気の広告ブロッカー「uBlock Origin」およびその他のManifest V2ベースの拡張機能をChrome Webブラウザから段階的に無効化している。この動きは、ユーザーをManifest V3ベースの拡張機能へと移行させる取り組みの一環だ。
突如表示される「サポート終了」メッセージ
多くのChromeユーザーが最近、uBlock Originが自動的に無効化され、「もはやサポートされていない」というメッセージが表示されるようになったと報告している。技術メディア「BleepingComputer」は、同サイトが使用する一部のデバイスでも同様の状況を確認した。
ユーザーに提示されるオプションは「拡張機能を削除する」か「拡張機能を管理する」の2つのみで、後者を選択しても単に拡張機能ページへリダイレクトされるだけだ。Redditのスレッドでも、uBlock Originや他のサポート終了となった拡張機能が自動的に無効化されていることが報告されている。
しかし、この影響はすべてのユーザーに均一に及んでいるわけではない。一部のデバイスでは、uBlock Originが引き続き問題なく動作している状況も確認されている。
Manifest V3への移行とその影響
Manifest V3は、Chromeの最新拡張機能仕様であり、ユーザーのネットワークリクエストへのアクセス制限、開発者によるリモートコンテンツの利用制限、全体的なパフォーマンス向上を目的としている。Googleによれば、この変更はブラウザのセキュリティ、プライバシー、パフォーマンスを向上させるためのものだ。
しかし、この変更がもたらす最も大きな影響は「webRequest API」の制限にある。このAPIは、uBlock Originなどの拡張機能がネットワークリクエストを傍受・変更するために使用していた重要な機能だ。特に、望ましくないコンテンツを読み込む前にブロックするために広く利用されていた。
2024年9月にuBlock Originの開発チームは、Manifest V3の新しいAPIの制限により、同等の機能を持つ代替手段の実装が困難になったことを指摘している。新しいルールはより厳しく、同等の機能性を持つ代替手段は期待できない状況だ。
Googleは2024年6月からChrome Web Storeでサポート終了に関する警告を表示し始め、2024年10月には安定チャンネルでManifest V2を使用するインストール済み拡張機能の無効化を開始した。当時Googleは「この変更は今後数週間にわたって徐々にロールアウトされる」と説明していた。
ユーザーの選択肢
この変更に影響を受けるユーザーには、以下の選択肢がある:
- Manifest V3対応の代替拡張機能へ移行: uBlock Originの開発者が作成した「uBlock Origin Lite (uBOL)」などのManifest V3対応拡張機能に切り替えることができる。ただし、高度なフィルタリング機能を好むユーザーにとっては、機能が限定的すぎると感じる可能性がある。
- Firefoxなど別のブラウザへ移行: uBlock Originの開発チームは、Firefoxへの切り替えや、Manifest V2をサポートする他のブラウザへの移行を提案している。
- 企業向け延長措置の活用: 企業ユーザーおよび特定のユーザーは、「ExtensionManifestV2Availability」という特別なグループポリシーを通じて、2025年6月までManifest V2拡張機能を使用し続けることができる。
広告ブロッカーの未来
広告ブロッカーやプライバシーツールは、この変更による影響を最も受ける拡張機能となっている。Googleは明確なタイムラインを示しており、一般ユーザー向けのManifest V2サポートは現在段階的に終了中だ。企業向けの特別措置も2025年6月には終了予定だ。
この変更がWebの広告エコシステムに与える影響は大きく、Chrome上での効果的な広告ブロックが困難になることで、広告収入を重視するGoogleの立場が強化される一方、ユーザーにとっては広告表示の増加とプライバシー保護の弱体化をもたらす可能性がある。
Source
- BleepingComputer: Google Chrome disables uBlock Origin for some in Manifest v3 rollout
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