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月面データセンター実現へ、PhisonとLonestarが提携しストレージを打ち上げ

2025年3月3日

宇宙データストレージの新たな幕開けとなるか。Lonestar Data Holdings(以下、Lonestar)とPhison Electronics(以下、Phison)は、月面にデータセンターを構築する野心的なプロジェクトで提携し、その第一歩となるストレージ装置をSpaceX Falcon 9ロケットで打ち上げた。このミッションは、地球外でのデータ保管とレジリエンス(回復力)の可能性を切り開く、歴史的な試みである。

月面データセンターの第一歩、Phison製SSDが宇宙へ

2024年2月28日(現地時間)、LonestarとPhisonは、Phisonのエンタープライズ向けSSD「Pascari」を搭載したデータストレージ装置をSpaceX Falcon 9ロケットで打ち上げたと発表した。この装置は、Lonestarの「Freedom Mission」の一環として、3月4日に月面へ到着する予定だ。

Lonestarの創業者兼CEOであるChris Stott氏は、「人類にとって最も貴重なものは、我々自身を除けばデータだ」と述べ、データセンターの需要がAIの進化によって急増するずっと前から、宇宙にデータセンターを構築するというアイデアを温めてきたという。顧客は、気候変動による災害やハッキングからデータを守るため、地球外にデータを保管する方法を模索していた。

Phisonのゼネラルマネージャー兼社長であるMichael Wu氏は、「Chris(Stott氏)からの電話を受けたとき、私たちは非常に興奮した」と語る。Phisonは、NASAの火星探査機Perseverance Roverにストレージソリューションを提供するなど、宇宙ミッションでの実績を持つ。また、「Imagine Plus」というカスタムストレージソリューションの設計サービスも提供している。

宇宙空間に耐えるストレージ、過酷な環境でのテストをクリア

両社は2021年に提携を開始し、宇宙空間での使用に耐えうるSSDストレージユニットの開発を進めてきた。Stott氏は、問題が発生した場合に容易に修理できないため、製品のテストに数年を費やしたと付け加えた。

「SSDが非常に重要なのは、可動部品がないからだ」とStott氏は言う。「これは、我々が政府やほぼすべての企業、そして法人向けに行っていることを可能にする、驚くべき技術だ」

打ち上げられた装置には、災害復旧に関心を持つ複数の政府のデータや、大規模言語モデルをテストする宇宙機関のデータなど、さまざまな種類の顧客データが含まれている。人気バンドのImagine Dragonsもこのミッションに参加し、ゲーム『Starfield』のサウンドトラックから1曲のミュージックビデオを送ったという。

無限のストレージ容量と太陽エネルギー、宇宙データセンターの可能性

AIによるハードウェア需要が加速する中、宇宙ベースのストレージソリューションを追求する企業が増える可能性は高い。宇宙データセンターは、ほぼ無限のストレージ容量と太陽エネルギーを利用できるという、地球上のデータセンターにはない利点を提供する。

Lonestarは、すべてが順調に進めば、衛星メーカーのSidus Spaceと協力して、6基のデータストレージ宇宙船を建造し、2027年から2030年の間に打ち上げる予定だ。

「60年前のアポロ計画とは違う。アポロのフライトコンピュータは、2キロバイトのRAMと36キロバイトのストレージしか持っていなかった。今回のミッションでは、Phison Pascariを使って、1ギガバイトのRAMと8テラバイトのストレージを搭載している。これは途方もないことだ」とStott氏は述べた。


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