中国は表向きは米国の輸出規制によって最先端のAIチップを入手出来ない事になっているが、今回Reutersが報じている所では、中国の研究機関や大学はそうした規制下にもかかわらず、サーバーを購入することで、規制を回避し、ハイエンドのNVIDIA製AIチップを入手することに成功しているという。
Reutersは1月にも、中国に渡ったNVIDIAのハードウェアについて同様の調査を行っていたが、今回の新たな調査はそれを引き継ぐものである。前回の調査では、中国の企業が禁止されたGPUをいくつか購入していたことが明らかになったが、その出所は不明だった。今回、その出所が特定されたわけだ。
Reutersが数百の入札書類を調査したところ、中国科学院、山東省人工知能研究所、国営航空研究センター、宇宙科学センターなど10機関が、SuperMicro、Dell、Gigabyt製のサーバー製品を購入し、高度なNVIDIAチップを入手したことがわかった。入札額は約10,000ドルから259,000ドルだという。
以前、中国企業がNVIDIAのゲーム用チップを再利用し、そのコアコンポーネントを新しい回路基板に取り付けてAIハードウェアに搭載していると報じられたこともあるが、中国はあの手この手を使い、様々な経路からNVIDIAチップを入手しているようだ。
米国は現在、中国と貿易戦争を行っており、AI開発や軍事計画を遅らせ、人権侵害を制限するために、ハイエンドチップの輸出を制限している。
2023年11月17日、米政府はすでに実施していた制裁措置を拡大し、NVIDIAが設計したような、最先端AIチップが中国に渡るのを阻止した。しかし、Reutersは、チップの注文が2023年11月20日から2024年2月28日の間に行われたことを示す数百の入札書類を確認したと述べた。
Reutersの取材に対し、NVIDIAの広報担当者は、Reutersが特定した入札は、規制が実施される前に輸出され、広く入手可能だった製品に関するものであり、NVIDIAのパートナーのいずれかが輸出管理規則に違反したことを示す書類ではないとし、「当社のパートナーが輸出管理規則に違反したことを示すものではなく、世界中で販売されている製品のごく一部です」と広報担当者は述べた。ある法律の専門家は、メーカーが知らないうちにチップが中国に横流しされていた可能性があると述べている。
Reutersは、この入札が新規に購入されたサーバーで行われたのか、輸出禁止措置が拡大される前に入手された備蓄品で行われたのかは、文書からは明らかではないと報じている。
サーバーメーカー3社はReutersに対し、米国および国際的な輸出規制を遵守していると述べた。SuperMicroは、製品は旧世代モデルであり、サプライヤーは既知の顧客ではないと述べた。デDellは、制限されたチップで構成された製品を出荷した形跡はなかったが、調査を続けると述べた。
米商務省はReutersに対し、現在進行中の調査についてはコメントしないと述べた。
同省はすでに、中国最大の半導体企業であるSemiconductor Manufacturing International Corp(SMIC)によるチップ制裁違反の疑惑を調べている。
同省は、SMICがオランダのASMLの装置を使用して、HuaweiのMate Pro 60向けの7nm、5G対応Kirin 9000Sチップを製造できたのではないかと懸念していると報じられている。
とは言え、Gina Raimondo米商務長官はCBS Newsとの最近のインタビューで、HuaweiのMate 60 Proに搭載されたチップは、米国で入手可能な洗練された半導体より何年も遅れており、中国への輸出規制が機能している証拠だと述べている。
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