IntelのLunar Lakeは、現在QualcommのSnapdragon Xチップ搭載のWindows PCのみが許されている「Copilot+ PC」の称号をIntelも獲得すべく、今年後半の登場が計画されているが、AI機能と同時に期待されているのが、その省電力性能だ。今回そのLunar Lakeに搭載される高効率コアである「Skymont」コアについて、一部の情報が明らかになった。
Skymontは前モデルから2桁のIPC向上
Snapdragon X Eliteを搭載した新たなSurface LaptopはM3 MacBook Airを上回るバッテリー持続時間を誇るが、Lunar Lake搭載のWindows PCでも同等かそれ以上の省電力性能が期待される。こうした少ない電力で効率よく日常のタスクを実現するのに役立つのが、Intelプロセッサーでは高効率コア(Eコア)であり、現行のMeteor Lakeでは「Crestmont」コアが採用されている。
次世代Lunar Lake及びArrow Lakeでは、Eコアに「Skymont」コアが採用されるが、Intelが開催した非公式発表会ではこれについて詳細が明らかにされており、その性能が大きく向上しているようだ。具体的には、Meteor Lakeに採用されたCrestmontコアと比較して、Skymontコアは2桁のIPC(命令あたりのサイクル数)向上が見られるとのことだ。これは、同じ速度であれば少なくとも10%処理能力が向上していると言う事になる。
ちなみに、Crestmontコアは、既に「Raptor Lake」や「Alder Lake」アーキテクチャで採用されていた「Gracemont」コアから4%のIPC向上を示している。
これらを踏まえると、SkymontコアのIPCは、Intelの過去のモデルである「Ice Lake」や「Tiger Lake」アーキテクチャのパフォーマンスコアである「Sunny Cove」や「Willow Cove」に匹敵する性能を、超低消費電力で実現する可能性がある。ちなみに、これはAMDの前アーキテクチャ「Zen 3」並みということをも意味する。
これを実現したのが、改良された分岐予測ユニット、これまでの6つのデコーディングユニットから、より広い9つのデコーディングユニットへの変更、Crestmontでは4つだった整数ALUが8つになったこと、アウトオブオーダーエンジンの依存関係の最適化、エンジン全体にわたる深いキューイングを通じて実現している。Eコアは、特定のコア数間でL2キャッシュを共有するクラスターに配置される可能性があるようだ。
Lunar LakeはTSMCによって製造される
加えて、Elchapuzas Informaticoが別の情報筋から得た情報では、これまで不明だったLunar Lakeの製造プロセスについて、Lunar Lakeが完全にTSMC製になる事も明らかになった。2つの異なる製造プロセスを使用しているが、どちらもTSMC製とのことだ。CPUコアのタイル(Compute Tile)が3nmの「N3B」で製造され、SoCタイルは「N6」プロセスで製造されるという。Intelが製造しない自社のプロセッサという点で注目すべき物になるだろう。
また、低消費電力のLP Eコアがなくなったことも明らかになった。とは言え、TSMCの製造プロセスのおかげで、大幅なエネルギー消費の改善が期待出来るだろう。
そして最後に、Lunar Lakeを搭載したノートPCは10月に登場するとのことだ。
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