2024年4月15日14時50分更新:App Storeからアプリは削除された模様
Appleは先日、App Storeの規約に変更を加え、iOSやiPadOS上でレトロゲームエミュレータを提供する事を認めるという大きな方針の転換を行ったが、これを受けて早速エミュレータが登場したようだ。
この変更は、特に「バイナリに組み込まれていないソフトウェア」を実行するアプリを許可するもので、「レトロゲーム機のエミュレータアプリ」がルール変更の許容アプリのリストに含まれている。
ゲームボーイアドバンスエミュレータ「iGBA」は早速この変更に乗じてiOSおよびiPadOS向けにApp Storeに登場した。
このアプリはオープンソースプロジェクト「GBA4iOS」をコピーして広告機能を付けただけのものの様だ。元々このアプリは、Riley Testut氏が10年以上前にiOS向けに作成した物で、GNU GPLv2ライセンスを使っているという。
定評のあった、GBA4iOSと全く同じ物なので、iGBAは機能的には全く問題はない。ゲームボーイアドバンスやゲームボーイカラーのROMをWebからダウンロードし、iGBAで開いてプレイすることができる。セーブステート、バーチャルコントローラーのカスタマイズ、ハプティック設定、AirPlay外部ディスプレイ投影がすべてここで利用できる。問題なのは、GBA4iOSの模造品である事だ。
だが、GBA4iOSの作者であるTestut氏の怒りの矛先はiGBAの作者(と言えるかは微妙だが)であるMattia La Spina氏だけではなく、Appleに向いている。Testut氏は今回のAppleの規約変更以前に、欧州デジタル市場法(DMA)に対応する為に許可されることになった代替アプリマーケットプレイスにおいて、「AltStore」をリリースし、そこでの主力アプリとして「Delta」(ゲームエミュレータ)を提供する事を目指して1年以上も作業をしていたようだ。DMA施行後はAppleとの協議も1か月前から行っている。だが、今回Appleは代替アプリマーケットは依然として許可していないにもかかわらず、模造品のiGBAは迅速に許可しているとして、Testut氏はiGBAの作者よりもAppleに対して不満を露わにしている。
加えて、iGBAはTestut氏も批判しているように、“詐欺アプリ”である可能性も否定できない。例えば、このアプリはゲームに関係ないのに位置情報を追跡している。さらに、このゲームは無料でダウンロードできるものの、広告がたくさんあるとユーザーは報告している。
Testut氏は自身のコードをオープンソースにしているが、ライセンスを制限する条件がある。
「私は明示的に、法的な結果を恐れることなく、誰でも、帰属の有無にかかわらず、このプロジェクトに関する私のオリジナル・コードをいかなる形でも使用、変更、配布することを許可します。ただし、あなたがAppleのApp Storeにアプリを提出する予定がある場合は、私からの書面による許可が明示的に必要です」と、そもそもGithubの彼のライセンスには書かれている。Testut氏はもちろんiGBAには許可を与えていない。
なお、AppleもiGBAの開発者も、公式にはコメントしていない。
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