SamsungはGalaxy S24シリーズでExynosプロセッサを復活させたが、Galaxy S25ではS23の悪夢が再来し、再びExynosプロセッサの搭載が見送られるかも知れない。
Samsungは3nmプロセス製造「Exynos 2500」の歩留まりを改善できていない可能性
現在、最先端の半導体製造プロセスは3nmに移行しているが、これを実現している企業はSamsungとTSMCである。SamsungはTSMCに先駆けて2022年6月に業界初となる3nmゲートオールアラウンド(GAA)プロセス「SF3E」の量産を開始したが、歩留まりと効率はかなり低いもので、一部の暗号通貨マイニング向けチップの製造にのみ採用されていた。
TSMCもSamsungと同様、3nmプロセス「N3B」の立ち上げ時は歩留まりの低さに悩まされたようだが、その後は改善され、最新の「N3E」プロセスでは成熟した5nmプロセス並みのロジック半導体で80%以上という高い歩留まりを記録しているという。
対するSamsungは、今回アナリストのMing-Chi Kuo氏、Business Koreaの報道によって、3nmプロセスの歩留まりが改善されていない可能性が報告されている。元々60%と報じられていたSamsungの3nmプロセスの歩留まりは、中国のASIC向けのものでSRAMチップを含まない物であり、完全なロジック半導体を含む歩留まりは更に低い物になると見られて、これが改善されていないとなると、歩留まりは50%以下になるかも知れない。
Galaxy S25ではExynos 2500が登場しない可能性も
これに先立ち、Samsungの3nmGAAプロセスで製造される次世代モバイルSoCの存在が明らかになっていたが、Business Koreaの報道によれば、Samsung System LSI Divisionが開発し、Samsung Foundryの3nmプロセスで生産されたExynos 2500も、歩留まりが芳しくないようだ。
こうした状況を受け、Ming-Chi Kuo氏はSamsungがExynos 2500を出荷できず、Galaxy S25 のSoC サプライヤーがQualcomm一社になる可能性を報告している。そして、Qualcommの次期Snapdragon 8 Gen 4を製造するファブはTSMCであることから、最終的にはSamsungのシェアをTSMCが奪うことになるだろうと言うのだ。ちなみに、Galaxy S24でのQualcommのシェアは40%と言う事で、次期モデルでこれが100%になるとなれば、これはQualcommにとっては大きな意味を持つ。
更に、Snapdragon 8 Gen 4はSnapdragon 8 Gen 3から更に30%価格が上昇するとも言われている。SamsungがExynos 2500を出荷できないことでQualcomm、ひいてはTSMCの受ける恩恵はかなり大きなものになるだろう。
TSMCと比較してSamsungチップは性能が劣るとも指摘されている
業界がSamsungではなくTSMCに移行しているのは、歩留まりもあるがチップの電力効率と発熱に関する違いにもあるようだ。大手グローバルファウンドリー企業の代表がBusiness Koreaの取材に対し、「大手顧客がTSMCを選ぶ主な理由は、最先端プロセスにおけるチップの電力効率の違いです」と指摘するように、Samsung FoundryのチップはTSMCと比較して10~20%の性能低下が見られると言われている。
加えて、このファウンドリー代表は発熱管理についても強調した。「半導体の発熱問題は過去20年間、主要なチップメーカーにとって長年の課題でしたが、AI半導体時代の到来により、これが重要な問題となっています。モバイルチップでは発熱問題がスマートフォン全体の構造に影響を及ぼす可能性があり、サーバーチップでは1つのサーバーラックが発する熱が瞬く間に広がり、サーバー全体の過負荷を引き起こす可能性があります」と説明し、これがNVIDIAやQualcommと言った企業がSamsungではなくTSMCを選択する要因になっているとも指摘している。
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