世界の半導体市場が新たな成長フェーズに突入している。Semiconductor Industry Association(SIA)の最新発表によると、2024年第3四半期の世界半導体売上高が前年同期比23.2%増の1,660億ドルに到達。さらに9月単月の売上高は553億ドルと過去最高を記録し、前月比でも4.1%の成長を示した。この急成長の背景には、AI技術の産業応用の本格化という構造的な需要拡大がある。
市場構造の転換点、明暗分かれる地域別動向
半導体市場の成長を牽引しているのは、AI関連需要が急増する米州市場だ。米州地域の9月売上高は前年同期比46.3%増の172.4億ドルと驚異的な成長を記録し、世界市場の31.2%を占める最大市場となった。中国市場も前年同期比22.9%増の160.4億ドルと力強い成長を示し、市場シェア29.0%で第2位につける。アジア太平洋地域は18.4%増の134億ドルと安定した成長を維持し、市場シェア24.2%を確保している。
一方、成熟市場である欧州と日本では対照的な結果となった。日本市場は7.7%増の42.1億ドルと緩やかながらも成長を続けているのに対し、欧州市場は8.2%減の44.3億ドルと主要地域で唯一のマイナス成長となった。この地域間格差は、AI関連技術の産業応用における各地域の競争力の違いを浮き彫りにしている。
構造変化の本質:AI革命が促す需要構造の転換
SIAのJohn Neuffer会長兼CEOは今回の市場動向について、「2024年第3四半期は2016年以来最大の四半期成長率を記録した」と評価している。この急成長の背景には、大規模言語モデル(LLM)やAIアクセラレータなど、高性能コンピューティング需要の構造的な拡大がある。特にTSMCをはじめとする主要製造業者は、3nm以下の最先端プロセス製品への需要が予想を上回るペースで増加していると報告している。
Source
- Semiconductor Industry Association: Global Semiconductor Sales Increase 23.2% in Q3 2024 compared to Q3 2023; Quarter-to-Quarter sales up 10.7%
コメント