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Googleがアイトラッキング技術AdHawk Microsystemsと買収交渉中 – ARグラス市場再参入への布石

2025年3月13日

Googleがカナダのアイトラッキング技術企業AdHawk Microsystemsを約1億1,500万ドルで買収する交渉の最終段階にあることがBloombergの報道により明らかになった。この動きは、GoogleがApple Vision ProやMetaのRay-Banスマートグラスに対抗し、ARグラスおよびXRヘッドセット市場に再び本格参入する意向を示すものだ。

買収交渉の詳細

Bloombergの報道によれば、Googleは1億1,500万ドル(約170億円)でAdHawk Microsystemsを買収する交渉を進めている。この金額には、同社が特定のパフォーマンス目標を達成した場合に支払われる1,500万ドルも含まれている。交渉は今週中に完了する見込みだが、匿名情報筋によれば、正式契約がまだ締結されていないため、交渉が決裂する可能性も残されている。

GoogleはすでにHTCのXR部門を2億5,000万ドルで買収しており、今回のAdHawk買収によって、AR/XR分野でのハードウェア開発をさらに強化する意向を示している。両社とも現時点では、この買収報道についてコメントを出していない。

AdHawkの技術的強み

2017年に設立されたAdHawk Microsystemsは、目と脳の接続を橋渡しする高度なアイトラッキング技術を専門としている企業だ。同社の最大の特徴は、従来のカメラを必要としない独自の「マイクロエレクトロメカニカルシステム」(MEMS)アイトラッカーを開発した点にある。

この技術により、ワイヤレスでは250Hz、有線接続では500Hzという高いサンプリングレートでのトラッキングが可能となり、レイテンシーは4ミリ秒未満、誤差は約1度に抑えられている。特に低消費電力での高精度アイトラッキングは、スマートグラスやメタバース応用に最適な特性を持っている。

AdHawkはカスタムシリコン設計からクラウドベース分析までのフルスタックアプローチを取っており、独自のCMOS-MEMSデバイスをウェーハスケールで生産している。同社はすでに研究者や臨床医向けに「MindLink」グラスを製造・販売した実績もあり、スマートグラス製造のノウハウも持ち合わせている。

これまでに同社はIntel Capital、Samsung Venture Investment、Sony Innovation Fundなど主要テック企業から計2,230万ドルの資金調達に成功している。

GoogleのAR戦略

Googleの拡張現実(AR)分野への取り組みは2013年のGoogle Glassに始まるが、同製品は一般消費者市場での広範な普及には至らなかった。しかし近年、AppleのVision ProやMetaのRay-Ban協同開発スマートグラスなどの登場により、AR/XR/MR市場が再び活性化している。

この流れを受け、Googleは2024年12月にAR/VR向けの新OS「Android XR」を発表。さらに2025年1月にはHTC Viveのエンジニアリングチームの一部を買収し、Android XRの開発を加速させている。GoogleはまたSamsungと提携して「Project Moohan」ヘッドセットの開発も進めている

注目すべきは、GoogleがAI技術と組み合わせたAR体験を模索している点だ。「Project Astra」のデモではすでに未発表のスマートグラスが披露されており、Android XRと旗艦AIモデル「Gemini」を組み合わせたデバイス開発が進行中と見られる。

AdHawkの低消費電力かつ高精度のアイトラッキング技術は、これらの取り組みを大きく前進させる可能性がある。業界関係者の間では、GoogleがついにGoogle Glassの後継となる「Google Glass v2」を市場投入するのではないかとの期待が高まっている。


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