Google親会社Alphabetの2024年第2四半期決算が好調な結果を示し、AIへの積極投資が実を結び始めていることが明らかになった。特にGoogle Cloudの成長が全体を牽引する一方で、AI検索のコスト抑制にも成功し、投資家の懸念を払拭する内容となっているが、本業(?)の広告収入は鈍化しているようだ。
Google Cloud初の四半期売上高100億ドル突破、AI投資が奏功
Alphabetの2024年第2四半期決算では、全体の売上高が前年同期比14%増の847億ドルに達し、純利益も236億ドルと大幅に増加した。特筆すべきは、Google Cloudの業績だ。
Google Cloudは初めて四半期売上高が100億ドルを突破し、103.5億ドルを記録。これは前年同期比29%増という力強い成長を示している。さらに、営業利益も12億ドルに達し、クラウド事業単独での収益性が大きく改善した。
Forrester ResearchのLee Sustar主席アナリストは、「この節目は、Alphabet内でクラウド組織が自立していることを示している」と評価している。また、「GoogleのAIオファリングが既存顧客との関係拡大と新規顧客獲得に寄与している」と分析し、AIがエンタープライズ向けパブリッククラウド市場に新たな活力をもたらしていると指摘した。
一方で、AI関連の投資も積極的に行われている。Alphabetは第2四半期に132億ドルの設備投資を行い、その大部分がAIワークロードを実行するためのデータセンターとインフラストラクチャーに向けられた。また、GoogleのDeepMindおよびResearch部門におけるAIモデル構築への支出は、前年同期の11億ドルから22億ドルへと倍増している。
こうした積極投資にもかかわらず、GoogleはAI検索のコスト抑制にも成功している。通常、生成AIの処理には多大な計算が必要となり、それに伴ってコストも劇的にアップするとされている。これが、利益率の低下に繋がるのではないかとする投資家の懸念もあったが、Sundar Pichai CEOは投資家向け説明会で、「AIによる概要」と呼ばれるAI生成の検索結果を従来の関連Webサイトリストと並べて表示するツールのコストを抑制できていると述べた。さらに、「クエリの複雑さに合わせて適切なモデルサイズを選択することで、コストと遅延への影響を最小限に抑えることに注力している」と説明した。
特に18歳から24歳の若年層ユーザーがAIによる概要に高い関心を示していることも明らかになった。これは、TikTokで育った若者にとってGoogleが古臭い存在と見なされているという懸念を払拭する結果となっている。
Google広告事業の成長率は前四半期の13%から11.1%へとやや鈍化したものの、依然として堅調な伸びを示している。Investing.comのThomas Monteiro上級アナリストは、「今後1年間で広告成長が堅調に回復する可能性が高い」と予測している。
PichaiCEOは、AIはまだ始まったばかりだと述べ、「モデルの能力を向上させ、それを消費者向けおよび企業向けの実際のユースケースに反映させることに注力している」と強調した。
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