米国連邦裁判所は、Googleが検索市場で独占的地位を濫用したとして、同社に対する反トラスト法(日本の独占禁止法にあたる)違反の判決を下した。この画期的な判決は、世界最大の検索エンジンの事業モデルに重大な影響を与える可能性があり、今後のインターネットの世界を再編する可能性がありそうだ。
Googleの反トラスト法判決の詳細と今後の影響は
コロンビア特別区連邦地方裁判所のAmit Mehta判事は、10週間に及ぶ裁判の末、Googleが検索サービスと検索テキスト広告の2つの市場で独占的地位を維持するために違法な行為を行ったと結論づけた。判決文では、「Googleは独占企業であり、その独占を維持するために独占企業として行動してきた」と明確に述べられている。
Mehta判事は、GoogleがAppleやSamsung、Mozillaといった企業と結んだ排他的な契約が、競合他社を効果的に締め出し、独占的地位の維持に貢献したと認定した。特に注目されたのは、GoogleがAppleに対して2022年に推定200億ドルを支払い、iPhoneのデフォルト検索エンジンの地位を確保していた点である。
この判決は、米国司法省にとって大きな勝利となった。司法省反トラスト局のJonathan Kanter局長は、「この画期的な判決はGoogleに責任を負わせるものであり、今後何世代にもわたってイノベーションへの道を切り開き、全てのアメリカ人の情報へのアクセスを保護するものです」とコメントしている。
一方、Googleは判決を不服として控訴する意向を表明している。同社のグローバル・アフェアーズ担当社長であるKent Walker氏は、「この判決は、Googleが最高の検索エンジンを提供していることを認めながらも、それを簡単に利用できるようにすべきではないと結論づけています。このプロセスが続く中、私たちは人々に役立ち、使いやすい製品を作ることに引き続き注力していきます」と、述べている。
判決では、Googleの独占的地位が「驚くほど持続的」であると指摘されている。Googleの検索市場シェアは2009年の約80%から2020年には90%にまで上昇しており、競合のBingのシェアは6%未満に留まっている。Mehta判事は、「市場の現実は、Googleが唯一の真の選択肢であるということです」と述べ、Fortune 500に名を連ねる大企業でさえも、Googleの収益分配を諦めることはできないと指摘した。
この判決が今後どのようにGoogleの事業に影響を与えるかは、まだ明確ではない。現時点では企業の責任を認定したに過ぎず、具体的な是正措置については今後の審理で決定される。最終的な措置は、特定のビジネス慣行の停止を命じるものから、Googleの検索事業の分割を求めるものまで、幅広い可能性がある。
また、この判決は他のテクノロジー企業に対する反トラスト法訴訟にも影響を与える可能性がある。Amazon、Apple、Metaなども現在、米国政府から同様の訴訟を起こされており、今回の判決が、現代のデジタル市場に対して1世紀以上前の反トラスト法をどのように適用するかについての先例となる可能性がある。
Googleの敗訴は、検索エンジン市場に大きな変化をもたらす可能性がある。DuckDuckGoのような競合他社にとっては、より公平な競争環境が整うことで、イノベーションと市場参入の機会が生まれるかもしれない。DuckDuckGoのSVPであるKamyl Bazbaz氏は、「私たちは、この画期的な判決と、司法省および州司法長官による反トラスト法執行の重要な取り組みを称賛します」と述べている。
一方で、消費者にとっては、検索エンジンの選択肢が増える可能性がある反面、Googleのサービス品質や利便性に影響が出る可能性も否定できない。Googleが主張するように、同社のイノベーションと品質向上の努力が、結果として消費者に利益をもたらしてきた側面もあるからだ。
今後の展開として、Googleによる控訴、具体的な是正措置の決定、そして他のテクノロジー企業に対する独占禁止法訴訟の行方が注目される。また、この判決が欧州連合(EU)などの他の地域におけるGoogleの事業にどのような影響を与えるかも重要な観点となる。
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