モバイルゲーム体験を劇的に向上させる革新的な技術が登場した。Qualcommは、Adreno GPU向けに開発されたアップスケーリング技術「Snapdragon Game Super Resolution 2 (GSR2)」を発表した。これは、単なる解像度向上にとどまらず、パフォーマンス向上とバッテリー消費の抑制という、モバイルゲーマーにとってまさに夢のような機能を備えている。
Snapdragon Game Super Resolution 2:驚異のビジュアルと滑らかなゲームプレイを実現
GSR2は、Temporal Anti-aliasing and Upscaling (TAAU)技術を実装したSnapdragon Elite Gamingの新機能である。従来の空間的アップスケーリングとは異なり、GSR2は時間的情報を活用することで、より高品質な画像生成を実現する。また、GSRは現在のフレームバッファのみを使用していたが、GSR2は過去のフレームからのカラーサンプルも活用することで、より精細でリアルな画像を生成する。この点が、GSR2がGSRを凌駕する大きな要因の一つである。
GSR2のアルゴリズムは、変換パス、アップスケールパス、そしてオプションのシャープ化パスの3つのパスから構成される。
変換パスでは、モーションバッファや深度クリップバッファなどの必要なバッファが準備される。続くアップスケールパスでは、高度に最適化されたLanczosアルゴリズムを用いて低解像度画像を高解像度画像にアップスケールする。さらに、コンテンツに応じてオプションのシャープ化パスが適用され、より鮮明な画像が得られる。この多段階処理により、1080pのゲームを4K相当の鮮明なビジュアルに変換することが可能となる。
GSR2の真価は、そのパフォーマンス向上にある。30FPSでしか動作しなかったゲームが60FPS以上で動作するようになり、滑らかなゲームプレイを実現する。既にターゲットフレームレートに達しているゲームにおいても、開発者は余剰フレームを活用してレンダリングパイプラインの改善や、高解像度テクスチャ、より複雑なジオメトリ、LOD(Level of Detail)の追加など、ゲームのクオリティ向上に注力できるようになる。
さらに、パフォーマンスの最適化によりバッテリー消費も抑制されるため、モバイルゲームをより長く楽しむことができる。Qualcommは、Snapdragon 8 Gen 3において、最大GPU周波数で2ミリ秒以内、最低GPU周波数で8ミリ秒以内の処理時間を達成したと発表している。これは、モバイルプラットフォームにおける時間的アップスケーリングソリューションとして、非常に高い効率性を示していると言えるだろう。
パフォーマンスデータ:驚異の処理速度
GSR2は、様々なアップスケール倍率と実装バリアントに対応している。例えば、2.0x (630×1400 to 1260×2800)、1.7x (740×1648 to 1260×2800)、1.5x (840×1866 to 1260×2800)といったスケーリングに対応し、2パスまたは3パスのCompute Shader (CS)とFragment Shader (FS)のバリアントが提供されている。テスト結果では、Fragment Shaderを用いた2パス実装で、わずか1msという驚異的な処理速度を達成している。
開発者へのサポートと入手方法
Qualcommは、開発者がGSR2を容易に導入できるよう、様々なサポートを提供している。GSR2はオープンソースとして公開されており、開発者のユースケースに応じて、Snapdragon Studios GitHubリポジトリ、Unreal Engineプラグイン、VulkanおよびOpenGL ESサンプルとして入手可能である。 Discordコミュニティも用意されており、Qualcommの専門家や他の開発者との交流を通じて、最新情報を入手できる。
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