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2029年までにWindows PC市場の半分をArmベースチップが占めるとArm CEOが大胆予測

Y Kobayashi

2024年6月5日

QualcommのSnapdragon Xチップの登場により、今まで日陰の存在だったWindows on Armが一躍表舞台に躍り出ようとしている。今回の変化はまさに革命であり、MicrosoftノートPC向けCopilot+ PCの推進もあり、今後ArmベースのWindows PCが50%を占めると、Arm CEOのRene Haas氏は予想しているようだ。

ArmはWindowsでデスクトップ、ノートの市場を支配したい

Reutersのインタビューで、Haas氏は「WindowsにおけるArmの市場シェアは、次の5年間で50%以上になる可能性がある」と述べている。これは希望的観測も多分に含むだろうが、全く根拠のない予測というわけでもない。

多くのユーザーにとって、PCを購入する場合、x86/x64ベースかArmベースかは問題ではなく、どういった用途に用いることが可能なのか、(ノートPCならば)バッテリー持続時間はどれくらいなのかと言った部分に焦点が当てられるだろう。そして注目すべきはAI性能だ。どういった便利なAI機能を実現できるのかと言ったポイントは、細かなスペックよりも分かりやすい物で、ユーザーに大きく訴求するものと見られる。

Snapdragon Xチップを搭載した新たなWindows on ArmのCopilot+ PCは、これら多くのユーザーがPCに求めているポイントを的確に抑えている。Microsoftによれば、Snapdragon X Eliteを搭載した最新のSurfaceラップトップは、第三者機関による初期のテストでは、AppleのM3 MacBook Airよりも最大58%高速であり、M3 MacBook Airを上回る優れたバッテリー持続時間を誇るという。

また、Haas氏はMicrosoftがソフトウェアの観点からArmに非常にコミットしており、過去数年間にわたってこれまで以上のことを行っていると付け加えた。

Microsoftや他のベンダーからのArmベースのCopilot+ PCはノートPCに焦点を当てているが、QualcommはWindows Snapdragon X Dev KitをNUCや、Mac miniのようなミニデスクトップの形で提供している。QualcommのCEOであるCristiano Amon氏は、ComputexでSnapdragon X EliteおよびX Plusチップがすべてのフォームファクターに対応することを発表し、SoCで動作する将来のデスクトップPCを示唆している。Haas氏の予測は、デスクトップ、ノートという両方の形態におけるWindows PCでのシェア拡大を示唆しているようだ。

ただし、ArmベースのPCが大きく伸長したとしても、x86 PCがわずか5年で市場シェア50%以下になるとは中々想像しづらいものだ。

CanalysのアナリストであるKieren JessopはThe Registerに対し、現在の四半期ごとのPC出荷量のうち、Armベースのものはわずか8〜10%であり、そのほとんどがAppleシリコンであると述べた。だが、アナリストは、2026年までにPC市場の30%がArmベースになると予測している。Armの更なるシェア拡大には、何か大きな動きがなければ難しいかも知れない。例えば、Intelの競合他社のArm参入だ。

そういう意味では、先日報じられたように、AMDがArmベースの新たなチップ「Soundwave」を開発しているという情報は、興味深い。AMDがArmに注力することで自ずとx86のシェアは削られるだろう。また、Arm自身が明らかにしているように、その他の多くの企業、例えば先日噂されたようなMediaTekとNVIDIAの提携による新たなArmベースチップが投入されれば、Armのシェア拡大に一役買うことになるだろう。

Arm CEOのこうした予測を受けて、Tom’s HardwareはQualcomm CEOのCristiano Amon氏にインタビューを行っているが、同紙によればOEMは比較的楽観的な予測を立てており、一部では売上の60%がArmベースになるとの見方があると述べている「OEMの考え方は変わってきています。一部のOEMは、3年以内に総売上の40~60%を達成すると話しています。また、50%というOEMもありましたが、これは桁違いの数字です」。


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