Huaweiは、世界初となる2箇所で折りたためる機構を備えた“三つ折り”スマートフォン「Mate XT」を中国国外で発売開始した。高価格ながら独自のフォームファクターと高性能をアピールするが、その価格といくつかの制限により、広く普及するには課題が残る。
驚異の三つ折りデザインと高価格
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Huaweiは2月18日、マレーシアでの発表イベントで、初の三つ折りスマートフォン「Huawei Mate XT」をグローバル市場向けに発表した。本機は、3枚のパネルを折りたたむユニークなデザインが特徴であり、展開時には10.2インチのタブレットサイズの大画面を実現する。厚さはわずか3.6mmと非常に薄く、Oppo Find N5よりも薄型だ。
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競合他社がクラムシェル型(二つ折り)を中心に展開する中、Huaweiは新たなフォームファクターへの挑戦を続けている。しかし、この革新的なデザインの代償は小さくない。Mate XTの価格は3,499ユーロ(約555,000円)と非常に高額で、Samsung Galaxy Z Fold 6のほぼ2倍だ。
スペックと機能:独自SoCとHarmonyOS
内部ハードウェアの詳細は明らかにされていないが、一部情報源によると、Mate XTはチップセットにHuawei独自のKirin 9010が採用されているとのことだ。OSには、独自のHarmonyOS 4.2が搭載されている。
16GB RAMと1TBストレージを搭載し、高性能チップセットKirin 9010と相まって、快適な動作を提供する。
カメラシステムも充実しており、50MPメインセンサーに加え、12MP超広角センサーと12MPペリスコープ望遠カメラを搭載している。5.5倍光学ズームと最大50倍デジタルズームに対応し、多様な撮影シーンで活躍する。前面には8MPのフロントカメラを備えている。
バッテリーは5,600mAhで、66W有線充電と50Wワイヤレス充電をサポートする。短時間での充電が可能である。接続オプションは、5G、4G LTE、WiFi 6、Bluetooth 5.2、GPS、NFC、USB 3.1 Type-Cをサポートする。IPX8の防水性能も備えている。
しかし、米国の制裁により、Mate XTはGoogleアプリやサービス(Playストアを含む)を公式にサポートしていない。Huaweiは独自のAndroidベースのEMUIソフトウェアを搭載しているが、Androidから完全に独立したHarmonyOS Nextへのアップグレードはまだ行われていない。
グローバル展開と課題
Mate XTは、マレーシア、インドネシア、フィリピン、UAE、サウジアラビア、メキシコで発売され、今後さらに多くの市場での展開が予定されている。しかし、英国や米国での発売は「当面ない」とHuawei UKの広報担当者は述べている。日本での発売も未定だ。
XenoSpectrum’s Take
Huawei Mate XTは、スマートフォンデザインの限界を押し広げる野心的な製品だ。しかし、その非常に高い価格、Googleアプリの欠如、そしてHarmonyOSへの移行の不確実性は、このデバイスがニッチな製品にとどまる可能性を示唆している。Huaweiがグローバル市場で競争力を維持するためには、これらの課題を克服し、より幅広い消費者にアピールできる製品を開発する必要がある。特に、価格設定とソフトウェアのエコシステムは、今後の成功を左右する重要な要素となるだろう。
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