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Apple、iPhone 16eで独自の「C1」5Gモデムを発表:Qualcomm依存からの脱却とAndroidへの影響

Y Kobayashi

2025年2月20日

Appleが本日発表した新型「iPhone 16e」は、同社初の自社設計5Gモデム「C1」を搭載した初のiPhoneとなる。長年Qualcommに依存してきたAppleにとって、Qualcommへの依存を解消するためのこれは大きな転換点となる。同社によれば、このC1モデムは、これまでにiPhoneに搭載されたモデムの中で最も消費電力効率に優れている物とされ、iPhone 16eのバッテリー駆動時間を大幅に向上させることに一役買っており、Android陣営に大きな影響を与える事にもなりそうだ。

Apple、初の自社製5Gモデム「C1」をiPhone 16eに搭載

Appleは本日、新型スマートフォン「iPhone 16e」を発表した。このミドルレンジモデルは、6.1インチディスプレイとA18チップを搭載し、価格は99,800円からとなる。iPhone SEの後継機種と位置づけられるiPhone 16eで特に注目すべきはAppleが独自開発した初の5Gモデム「C1」チップの搭載である。長年の研究開発とIntelのスマートフォンモデム事業買収(2019年に10億ドルで買収)を経て、ついにQualcomm製モデムへの依存から脱却する第一歩を踏み出した。

iPhoneのモデムは長らくQualcommが供給してきたが、AppleはQualcommへの依存度を下げることを目指してきた。その戦略的転換において重要な動きが、2019年のIntelモデム事業の買収だ。これにより、Appleは自社設計の5Gモデム開発への道を切り開き、ハードウェアの統合性を高めることが可能になった。

5Gモデムを開発・製造できる企業は世界でも数少なく、Qualcomm、MediaTek、Samsung、Huaweiなどがその代表例である。AppleはC1モデムの投入により、このリストに名を連ねることになる。

しかし、自社製モデム開発は決して容易ではなかったようだ。これまでにも何度も登場が噂されてきたが、その度に遅延も報告され、当初はiPhone 15シリーズに搭載されるのでは?と言われていたApple独自モデムは2025年のiPhone 16eまで持ち越しとなった。実際、iPhone 16シリーズでもQualcomm製モデムが採用されている。

C1モデムの特徴とQualcommからの脱却

AppleのC1チップは、4nmプロセスで製造されたベースバンドモデムと7nmトランシーバーを特徴としている。現行のC1モデムはミリ波5Gをサポートしていないが、Appleは「業界をリードする効率性」を提供し、バッテリー駆動時間の向上に貢献すると述べている。

実際にそれはカタログスペックにも現れており、iPhone 16eは、6.1インチディスプレイを搭載したiPhoneの中で最長のバッテリー駆動時間を実現しており、上位のiPhone 16を上回るバッテリー持続時間を実現している。ただしこれは、C1モデムの電力効率だけでなく、A18チップとの相乗効果によるものだ。

Appleは、C1モデムを外部に販売する予定はない。将来的には、iPhone全機種にC1モデムを搭載し、Qualcommへの依存を解消していくと予想される。ただし、その正確なスケジュールは不明だ。

C1モデムがもたらす戦略的メリット

Appleが自社製モデムにこだわる理由は、コスト削減と垂直統合による効率化にある。Qualcommからのモデム購入費用に加え、技術ライセンス料も巨額に上ると見られる。一部の試算によれば、iPhone 16シリーズの販売目標が達成されれば、AppleがQualcommに支払う金額は25億ドルを超える可能性があるとも言われている。

自社製モデムにより、これらのコストを削減できるだけでなく、プロセッサやソフトウェアとの緊密な連携が可能になる。これにより、デバイス全体の電力効率を最適化し、バッテリー持続時間の向上やパフォーマンスの改善が期待できる。そのメリットは計り知れない。

Android陣営への影響と今後の展望

AppleのC1モデム搭載は、Android陣営、特にSamsungやGoogleなどの大手OEMに大きな影響を与える可能性がある。Appleが示したように、自社製SoCとモデムを開発・統合することで、デバイスの性能と効率を向上させることが可能になるからだ。これは、SamsungやGoogleといったAndroid OEMメーカーがQualcommからの脱却を図るための青写真を示すものともなるだろう。

実際、SamsungもExynosチップの内製化を進めており、モデムについてもExynos Modem 5400をPixel 9シリーズに搭載するなど、Qualcomm依存からの脱却を目指している。しかし、プロセッサの性能面ではQualcomm Snapdragonに後れを取っているのが現状だ。

AppleがまずミドルレンジモデルのiPhone 16eでC1モデムを導入したのは、フラッグシップモデルへの搭載に先駆け、リスクを抑えながら技術的な課題を洗い出す戦略と考えられる。Samsungも同様に、Exynosチップ搭載モデルを増やし、チップ製造技術の向上を図っている。

AndroidスマートフォンがiPhoneと同様に、SoCとモデムを内製化できれば、部品コストの削減と電力効率の向上が見込める。バッテリー持続時間の改善や端末価格の引き下げにもつながる可能性があり、消費者にとってもメリットは大きいだろう。


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