Intelは、同社独自のアップスケーリングテクノロジー「XeSS(正式には、XeSS)」の最新版となる、「XeSS 1.3」ををリリースした。このアップデートによって実現される内容は多岐にわたり、より高いパフォーマンス、画像の忠実度の向上、新しいスケーリング係数、Intelの提供するハイエンドグラフィックスカード用の新しい動作モードが追加される。
このアップデートは、AIモデルの継続的なトレーニングによるもので、XMX(Xe Matrix eXtensions)とDP4a(INT8)の両方の動作モードに適用され、ArcデスクトップGPUのパフォーマンスが最大28%向上している。Intelはより高いフレームレート、エイリアシングやゴーストの低減などの実例と共にXeSS 1.3のアップデートによる改善を示している。
例えば『龍が如く 維新!』の以下のシーン例を用いて、これらの改善を実演している。このシーンは、AIアップスケーリングの課題である多数の細かいディテールが特徴的なものだが、XeSS 1.3では、以前の実装にあった視覚的な不具合にも対処している。
背景に見られるすだれの細かなディテールが、古いXeSSモデルでアップスケールすると、滑らかに溶け合う代わりに激しくちらつき、没入感を完全に壊してしまうが、最新版では、トレーニングデータセットが改善され、強力になったAIモデルが、自然な見た目を実現し、より没入感のあるゲーム体験を提供する事に一役買っている。
また、XeSS 1.3では、時間的な安定性の向上に加え、ディテールの再現性を高めるなど、全般的な品質の向上も図られている。
フレームレートに関しては、Intelの行った内部テストによれば、デスクトップ版Arc A750を使用した場合、フレームレートが最大28%向上したとのことだ。
Intelはまた、Core Ultra 7 155H(統合Arc Graphics GPU)を搭載したノートパソコンでのパフォーマンスも示している。すべてのテストは、Arc A750ではRTをオンにして1440p Ultraで、Ultra 7 155Hではパフォーマンスモードのアップスケーリング(垂直方向と水平方向の解像度の半分、または全体のピクセルの4倍のアップスケーリング)を使用して1080P Mediumで行った。
Intelによれば、画質プリセットの選択肢が増え、「ウルトラクオリティプラス」と、「ウルトラパフォーマンス」という2つの新しいモードが導入されたという。前者は少数のピクセルを減らしてパフォーマンスを顕著に向上させる可能性があり、後者は出力解像度の3分の1からアップスケールするもので、4Kや(あえて)8Kのレイトレーシングを使った視覚的に要求の高いタイトルに理想的だ。
これら理想的な改善が並ぶにもかかわらず、今回IntelがテストしたゲームにはXeSS 1.3を公式にサポートしているものはまだない点には注意が必要だ。テストは、カスタム修正されたXeSS実装を使用して実施された。必要ならば、このアップデートはGitHubで自由に入手することも可能だ。
もちろん、これらのベンチマークはIntelが提供したもので、あるため、ある程度は下駄を履かせた可能性もなくはない。実際の実力は、XeSS 1.3技術を搭載した最初のゲームがリリースされるか、古いゲームが新バージョンにアップデートされるまで待つ必要があるだろう。
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