Intelが数千人規模の新たな人員削減を計画していることが明らかになった。複数の情報筋によると、同社は今週中にもこの大規模な人員削減計画について発表する可能性があるという。この動きは果たして、業績低迷と市場シェア低下からの回復を図るIntelの起死回生の一手となるのだろうか。
AMDやNVIDIAとのシェア争いに破れる中、研究開発による復活に賭ける
Intelは近年、厳しい競争環境の中で苦戦を強いられている。同社のCPU市場シェアはAMDに徐々に侵食され続けており、特にサーバー市場での影響が顕著だ。さらに、AIチップ市場ではNVIDIAが圧倒的な存在感を示しており、Intelは後塵を拝している状況にある。
こうした逆風の中、Pat Gelsinger CEOは同社の再建に向けて積極的な投資戦略を展開している。特に注力しているのが研究開発と製造能力の強化だ。Gelsinger氏は、Intelの技術力を向上させ、半導体業界でのリーダーシップを取り戻すことを目指している。
その野心的な計画の中核を成すのが、ファウンドリ事業の拡大である。Intelは「Intel Foundry Services」を立ち上げ、他の半導体メーカー向けに製造を請け負うビジネスモデルを強化し、台湾のTSMCに代表される競合他社に対抗しようとしている。この戦略の一環として、Intelは米国、欧州、イスラエルで新たな半導体工場の建設に数十億ドルを投じている。
しかし、これらの大規模投資を継続するには、同時にコスト削減も避けられない。そのため、Intelは既存の人員を削減し、経費を抑える必要に迫られているとみられる。現在、同社の従業員数は約11万人に上るが、この数字には分社化された部門の従業員は含まれていない。
昨年、Intelは従業員の約5%にあたる人員削減を実施したばかりだ。その際の削減は2022年10月に発表され、2023年に完了している。今回の削減規模はまだ明らかになっていないが、「数千人規模」になる可能性が指摘されている。
この人員削減計画は、Intelの財務状況を改善し、同社の長期的な競争力を強化するための苦渋の決断とみられている。実際、この報道を受けてIntelの株価は時間外取引で約1%上昇したという。投資家たちは、この動きをIntelの将来に向けた積極的な取り組みとして好意的に受け止めている可能性がある。
Intelは8月1日に2024年第2四半期の決算を発表する予定だ。アナリストらは、同社の売上高が前年同期比で横ばいになると予想している。ただし、2024年後半には業績が改善し、通年では3%増の557億ドルになるとの見方もある。これが実現すれば、2021年以来初めての年間売上高増加となる。
さらに、Intelは最近、元Micronの幹部であるNaga Chandrasekaran氏をチーフ・グローバル・オペレーションズ・オフィサーとして迎え入れた。Chandrasekaran氏は、Intel Foundryのグローバル製造業務と戦略的計画を主導することになる。この人事も、Intelのファウンドリ事業強化に向けた取り組みの一環とみられている。
一方で、Intelは現在、Raptor Lake プロセッサの過電圧問題という技術的な課題にも直面している。同社は、この問題の原因が不具合のあるマイクロコードアルゴリズムにあると説明している。修正パッチは来月リリースされる予定だが、これは完全な解決策ではなく、むしろ未影響のプロセッサが問題を起こすのを防ぐためのものだという。既に損傷を受けたCPUについては、交換が必要になる可能性がある。
Intelの再建計画が成功するかどうかは未知数だが、同社が厳しい決断を迫られていることは間違いない。半導体業界の激しい競争の中で、Intelがどのように巻き返しを図るのか、今後の動向が注目される。特に、ファウンドリ事業の成長、AIチップ市場での巻き返し、そしてAMDとの競争における市場シェアの回復が、同社の将来を左右する重要な要素となるだろう。
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