Appleが次世代のiPhone SE、通称「iPhone SE 4」でOLED(有機EL)ディスプレイを採用する可能性が高まっている。日経アジアが業界筋から得たと言う情報によると、このOLEDを採用したiPhone SE 4は2025年初頭に発売される見込みだ。この動きは、AppleがiPhoneラインナップ全体でLCDからOLEDへの完全移行を目指す最後の一手となる可能性がある。
iPhone SE 4のOLED採用と技術革新
iPhone SEシリーズは、これまでAppleのスマートフォンラインナップの中で唯一LCDディスプレイを採用し続けてきた。しかし、2025年初頭に予定されているiPhone SE 4の登場により、この状況が大きく変わろうとしている。
業界関係者によると、AppleはすでにLG DisplayとBOE Technology Groupに対し、iPhone SE 4用のOLEDパネルの注文を開始したという。この動きは、AppleがiPhoneのエントリーモデルにおいてもハイエンド機種と同様の高品質ディスプレイを提供する意向を示す物だ。
OLEDディスプレイの採用により、iPhone SE 4は前モデルから大幅な進化を遂げる可能性が高い。噂によると、新モデルはiPhone 14に似たデザインを採用し、6.1インチのOLEDディスプレイを搭載するとされている。さらに、Face ID、USB-Cポート、48メガピクセルカメラ、そしてA18チップの搭載も予想されており、ユーザーにとって魅力的なアップグレードとなりそうだ。
また、興味深いことに、iPhone SE 4にはApple Intelligenceのサポートが含まれる可能性があるという情報もある。これは、現行のiPhone 15およびiPhone 15 Plusには搭載されていない機能であり、iPhone SE 4が予想以上に高性能なデバイスになる可能性を示唆している。
AppleのLCDサプライヤーへの影響と業界の変化
iPhone SE 4のOLED採用は、Appleのサプライチェーンに大きな影響を与える可能性がある。特に、長年AppleにLCDパネルを供給してきたJapan Display(JDI)とSharpにとっては、厳しい状況となりそうだ。
10年前、JDIとSharpはiPhoneディスプレイ供給チェーンの約70%のシェアを占めていた。しかし、AppleがOLEDへの移行を進めるにつれ、両社のシェアは大幅に縮小。現在では、iPhone SE 3のLCDパネル供給のみとなっている。iPhone SE 4でOLEDが採用されれば、両社はiPhoneのサプライチェーンから完全に撤退することになる可能性が高い。
一方で、OLEDパネルの主要サプライヤーであるSamsung Displayは、現在iPhoneのOLEDスクリーンの約半分を供給している。LG Displayが約30%、BOEが約20%のシェアを持つとされており、これらの企業がiPhone SE 4のOLEDパネル供給を担うことになるだろう。特に、中国のBOE Technology Groupは、iPhone SE 4のディスプレイ受注においてSamsungを上回る可能性があるという報道もあり、注目を集めている。
この変化は、スマートフォン業界全体におけるディスプレイ技術の進化を反映している。OLEDは、より鮮やかな色彩、高いコントラスト比、省電力性能などの利点を持ち、高級スマートフォンの標準となりつつある。AppleがiPhone SE 4でOLEDを採用することで、この技術がより広く普及することが予想される。
JDIとSharpは、この変化に対応するため、事業の多角化を進めている。特に自動車関連分野への進出を図るなど、スマートフォン以外の市場での収益確保を目指している。しかし、2015年には年間約2億枚のLCDパネルを供給していた両社が、2023年には約2000万枚にまで減少したという事実は、彼らが直面している課題の大きさを物語るものだ。
iPhone SE 4の登場は、単にAppleの製品ラインナップの進化を示すだけでなく、ディスプレイ技術の変遷とそれに伴う産業構造の変化を象徴する出来事となりそうだ。
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