Kioxiaは、三井住友銀行、三菱UFJ銀行、みずほ銀行を主要行とする銀行団からの約5,400億円の借入金の期限延長を発表し、更に2,100億円の追加融資枠を設定したことを発表したが、これと共に、日本経済新聞によると同社が20か月に渡る減産を解除し、この6月から四日市工場(三重県四日市市)と北上工場(岩手県北上市)の製造ラインの稼働率を100%に戻したことが報じられた。これはフラッシュメモリの価格低下に繋がる可能性がありそうだ。
コンシューマ、エンタープライズ向け3D NAND需要が回復
Kioxiaによるフラッシュメモリの減産は2022年10月に始まった。これは、スマートフォン向けの3D NANDメモリの需要低下に対応し、減産によって価格低下を抑えるもので、ピーク時には30%以上の減産となっていた。さらに、こうした需要減を受け、北上工場の新工場の立ち上げは2023年から少なくとも2025年まで延期されていた。
だが、2023年後半からのスマートフォンおよびPC市場の緩やかな進行と共に、メモリ在庫の減少に伴い3D NANDの需要が増加し始めた。現在では、スマートフォンやPC向けのチップの需要が安定し、データセンターからの注文が増加している。その結果、NANDの価格は4月から6月の四半期に13%から18%上昇すると予想されている。今回のKixiaの減産解除は価格の安定に繋がる可能性があるが、市場の状況によっては、その後価格下落に繋がる可能性もある。
Kioxiaは2024年3月期第4四半期に黒字に転換し、103億円の純利益を報告している。これは、実に6四半期ぶりの黒字達成だ。黒字化とより好ましい事業環境が、今回の大規模な融資延長と新たな信用枠の設定を促したと見られる。
KioxiaとWestern Digitalは、先進的な生産設備を工場に導入するために、7,290億円を共同で投資する計画であり、日本政府はその費用の約3分の1を補助する。
Kioxiaの東京証券取引所への上場計画は、貿易摩擦と市場状況のために延期されたが、同社は現在、資金調達のためにこの上場に注力しており、これは貸し手にとっても好材料となるだろう。
Sources
- キオクシアホールディングス株式会社:借入金の期限延長について
- 日本経済新聞:キオクシアが減産解除 新たに融資枠2100億円
- ロイター:キオクシア、銀行団が融資5400億円の期限延長 追加枠も設定
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