MicrosoftとOpenAIは、AIモデルの開発を大幅に加速させるため、「Stargate」と呼ばれるスーパーコンピューターを収容するための巨大なデータセンターの建設を計画していることが、内部関係者からの話として、The Information誌によって報じられている。
コンピューターサイエンス史上最大級の投資
このスーパーコンピューターは、何百万ものGPUを搭載し、AI開発に特化した物になるという。コードネーム「Stargate」と呼ばれるこのプロジェクトには「1150億ドル以上」の費用がかかる可能性があると、OpenAIのSam Altman CEOとこのプロジェクトについて話したことのある人物と、Microsoftの初期費用見積もりを見たことのある人物は語っている。
関係者によると、2028年にStargateを稼働させることを現在議論しており、2030年まで拡張は行われる。
OpenAIとMicrosoftは、これらのスーパーコンピュータを今後6年間で段階的に構築する計画であり、Stargateは「フェーズ5」のシステムになるだろうとThe Informationは述べている。「フェーズ4」のシステムは、より少ないコストで、できるだけ早く2026年に稼働する可能性があり、ウィスコンシン州マウントプレザントで開始する可能性を探っていると、情報筋は語っている。コストが少ないとは言え、フェーズ4でも完成時のコストは100億ドル(約1兆5000億円)で、現在のデータセンターの何倍にもなる。
Stargateが本格稼働すると、最終的には最大5ギガワットの電力を必要とする可能性があるという。Stargateは米国内に建設され、今後6年間に建設される一連のデータセンターの中で最大のものとなる。The Informationによれば、このシステムには数ギガワットの電力が必要で、これは少なくとも現在の大型データセンター数個分に相当するという。
プロジェクトのコストの大部分はチップの調達にかかるだろうが、稼働に十分な電源を供給することも課題になるだろう。資金は主にMicrosoftが負担するという。
ただし、情報筋は、この規模のデータセンターは難しいだろうと示唆している。既存の設計では、「チップの効率と性能を高めるために、Microsoftが慣れているよりも多くのGPUを1つのラックに入れる」必要があるからだ。これは、すべてを冷却するための斬新な方法を考案することも意味する。
プロジェクトが実現すれば、コンピューターサイエンス史上最大級の投資となる。それは、OpenAIとMicrosoftがいかに先を見据えているかを示している。
両社はまた、この設計段階を利用して、NVIDIAへの依存から脱却する可能性もあるようだ。レポートでは、Microsoftが現在のプロジェクトで使用しているにもかかわらず、OpenAIはStargateでNVIDIAのInfiniBandケーブルの使用を避けたいと主張しているという。OpenAIはむしろイーサネットケーブルを使いたいと主張しているようだ。
まだ多くのことが決定していないため、価格やプランはすべて変更される可能性があり、詳細がいつ決定されるかは不明だ。また、このコンピューターがどこに設置されるのか、単一のデータセンターに構築されるのか、それとも “近接した複数のデータセンター”に構築されるのか、まだ決定していないとしている。
これと関連しているのかは不明だが、Altman氏はAI開発用チップの不足を繰り返し指摘しており、チップ工場のグローバルなインフラを構築することでこれに対処するため、多くの投資家やプロジェクト・パートナーと交渉していると言われている。
情報筋によると、MicrosoftがStargateプロジェクト(フェーズ5)を進めるかどうかは、OpenAIがAIの能力を大幅に向上させ、ある種の「超知能」を本当に達成できるかどうかにかかっているという。
より多くのサーバーを利用できるようになれば、OpenAIの一部の幹部は、同社が既存のAIを使って、より優れたモデルのための適切な合成学習教材を作成することができると考えている。
これと関連して、リーカーのJimmy Apples氏は最近Sam Altman氏が”砂漠のどこかに”大きな特別な何かを作っている、と書いていた。
これにはエネルギー会社のHelion EnergyとAmerican Clean Powerが関与していると言われているが、後日Apples氏は、これがStargateに関連していることを確認している。
Source
- The Information: Microsoft and OpenAI Plot $100 Billion Stargate AI Supercomputer
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