日本において圧倒的なシェアを誇るPC向けOSと言えばMicrosoft Windowsだが、このWindowsが登場する以前には、Microsoftが「MS-DOS」と呼ばれるOSを開発していた事は、今では知らない人の方が多いのではないだろうか。
この現代のWindowsの基礎を築いたMS-DOSは、最初にリリースされたのは1981年で、今から43年も前のことだ。Microsoftは既に2014年、MS-DOS 1.25と2.0のソースコードを公開しているが、今回それに加え、IBMと共同で、「オープン・イノベーションの精神に基づき」、新たに「MS-DOS 4.0」のすべてをMITライセンスの下でGitHubに公開した。
以前のMS-DOS版は、45年前に8086アセンブリコードのみで書かれたオペレーティング・システムとして、ソフトウェアの歴史において重要な位置を占めていたとMicrosoft社は指摘する。MS-DOS4には「やや複雑」で魅力的な歴史もある。MicrosoftはIBMと提携し、マルチタスク環境用に設計されたまったく別のブランチに取り組みながら、このOSを作り上げたからだ。
しかし興味深いことに、「マルチタスクDOS」と呼ばれたこの初期リリースは、IBM自身を含む当時のOEMが関心を示さなかった結果、広くリリースされることはなかった。
したがって、1988年にリリースされたMS-DOS 4.00の最終バージョンは、かつて意図されていたマルチタスクOSではなかったのである。
新しいオープンソースリリースには、このマルチタスクベースのDOSは含まれていないが、それにもかかわらず、ソフトウェアの歴史家にとってはかなり興味深い追加資料を提供している。
MicrosoftがMS-DOS 4のオープンソースを決定したのは、ある若い英国人研究者Connor “Starfrost” Hyde氏がRay Ozzies氏と連絡を取ったことがきっかけだった。同社の元最高技術責任者であるOzzie氏は、Lotus社に勤務していたときに入手したMS-DOS 4.0の未公開ベータ版バイナリを、彼の書庫に保管していたのだ。Hyde氏は、DOS 4、MT-DOS、OS/2の関係を文書化することに興味があり、また、Microsoftのオープンソースプログラムオフィス(OSPO)にDOS 4のコードを公開するよう説得しようとしていた。
OSPOとHyde氏は、インターネットのアーキビストやソフトウェア愛好家と協力し、MS-DOS 4.00の完全なソースコードを見つけることができた。現在、Microsoftは、Ozzie氏のベータバイナリ、オリジナルドキュメントのPDFファイル、PCエミュレータ(PCem、86Box)で使用できるディスクイメージファイルとともに公開し、最新のシステムでオペレーティングシステムを生き返らせている。
Microsoftによると、このイメージは、オリジナルのIBM PC XTコンピュータ(IBM 5150か)、新しいPentiumベースのシステム、および前述のオープンソースPCエミュレータで直接テストされ、正常に動作したという。MS-DOS 4.xは多くのバグや互換性の問題を含んでいることでよく知られているため、DOSプロンプトの散策に興味がある従来のユーザーは、DOSBoxや、オンラインで簡単に見つけることができるMS-DOS 6.xの最新リリースの方がはるかに使いやすいであろうことは申し添えておく。
Source
- Microsoft: Open sourcing MS-DOS 4.0
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