CAMM2メモリモジュールがデスクトップPC向けに登場したが、この規格の利点を重視するユーザーによって、従来のDIMMモジュールの一部が置き換えられる可能性がありそうだ。MSIが最近のInsider Livestreamで、CAMM2がデスクトップPCにもたらす利点について詳細な洞察を提供したが、CAMM2は、より高速なメモリ速度、低遅延、低消費電力、そしてコスト削減の可能性を秘めており、PCハードウェア業界に久しぶりに大きな変化をもたらす物になるかもしれない。
CAMM2がデスクトップPCにもたらす革新的な変化
CAMM2の最も顕著な利点は、その設計思想にある。従来のSO-DIMMメモリとは異なり、CAMM2インターフェースはCPUのIMC(Integrated Memory Controller)に直接接続されることにより、マザーボードのPCB上に埋め込まれたシステムインターフェース(SI)スタブが不要となり、バス速度のプラットフォーム能力が向上する。直接接続によって信号の整合性が高まり、パフォーマンスが向上するのだ。
さらに、CAMM2は従来のメモリ設計と比較して複雑さが低減される。マザーボード上のCPUとDIMMスロット間に必要だった多数の信号トレースが、CAMM2マザーボードでは大幅に削減される。これはメーカーにとってコスト面でのメリットにもつながる。
加えて、CAMM2モジュールが1本でデュアルチャンネル動作を可能にする点も大きな変化と言える。SO-DIMMでは2本のモジュールが必要だったデュアルチャンネル動作が、CAMM2では1本で実現する。これは、内部および外部チャネルの両方が単一のCAMM2モジュールに直接接続されるためだ。
CAMM2の採用はコスト面でも利点がある。信号トレースの削減に加え、CAMM2モジュールの設計自体がメモリメーカーにとって有利だ。CAMM2モジュールはSO-DIMMモジュールよりPCBが小さく、材料使用量が少ない。また、1モジュールで済むため、電源管理集積回路(PMIC)も1つで済む。これは消費電力の削減につながり、結果的に発熱も抑えられる。そのため、CAMM2モジュールはヒートシンクなしで動作可能となる。
デザイン面でも、CAMM2 DDR5メモリは革新をもたらす。従来のSO-DIMMメモリがCPUに対して90度立って配置されるのに対し、CAMM2は平らに配置される。これによりCPUへの気流が改善され、より効率的な冷却が可能となる。さらに、マザーボードメーカーは独自のヒートシンクデザインを展開し、RGB照明を組み込んだ魅力的な外観を実現している。
修理のしやすさも、CAMM2の大きな特徴の一つだ。新しい圧縮接続コネクタは、マザーボードの修理、特にDIMMスロットの修理を容易にする。このコネクタは取り外し可能で、損傷した場合はマザーボード全体ではなくコネクタのみを交換できる。
ただし、CAMM2にも課題がある。初期段階であるため、高価で入手困難な可能性が高く、インストールにはねじが必要となる。しかし、JEDECとそのパートナーは既に工具不要のデザインに取り組んでおり、将来的にはより簡単な取り付け方法が実現するだろう。
MSIが実施したデモンストレーションでは、DDR5-7200 CAMM2メモリモジュールがZ790 PROJECT PLUSマザーボード上で動作し、標準的なマザーボードと同等のパフォーマンスを示した。これは初期段階でのコンセプトであり、CAMM2が従来のSO-DIMMと同等以上のパフォーマンスを発揮できることを示している。
CAMM2はデスクトップPC向けメモリの次世代標準となる可能性が高い。高速化、低遅延化、省電力化、そして革新的なデザインの可能性を秘めたCAMM2は、PCハードウェア業界に新たな風を吹き込むことだろう。今後の発展と普及が期待される。
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