大手半導体メーカーIntelを巡り、名前の明かされていない企業による全面買収の可能性が浮上している。テクノロジー専門メディアSemiAccurateが複数の信頼できる情報源からの確認を取り、買収検討に関する内部メモの存在を報じた。この報道を受け、Intel株価は発表直後に約10%上昇している。
極秘裏に進む買収検討
SemiAccurateの報道で、約2ヶ月前にある企業がIntelの全面買収を検討していることを示唆する内部メモの存在が明らかになった。このメモは、当該企業の幹部間で極めて限定的に共有されており、買収検討が単なる思考実験ではなく、具体的な行動計画である可能性を示唆する物だという。
さらに注目すべき点は、この買収を検討している企業が、これまでIntelの買収に関する公の議論で名前が挙がっていなかった点だ。同メディアは先週、別の高位の情報源からもメモの内容を裏付ける確認を得たとしている。
この謎の企業に関しては、現在の時価総額約900億ドルのIntelを買収できる財務力を持つ企業であることが、情報源により確認されている。しかし、買収が実現するためには、複数の重要な課題をクリアする必要がある。
特に重要となるのが規制当局の審査だ。Intelは商用および政府向け半導体の主要サプライヤーとしての地位を占めており、国家安全保障、サプライチェーンの安定性、世界的な半導体市場における競争環境への影響など、多岐にわたる観点からの審査が必要となる。
業界再編の可能性と市場の反応
この報道は、昨年12月のPat Gelsinger CEOの退任後、経営の方向性が注目されるIntelにとって、極めて重大な物となる。Gelsinger氏は取締役会との緊張関係が高まり、自主的な退任か解任かの選択を迫られたとされる。
業界では以前から、BroadcomやQualcommなどによるIntel買収の可能性が取り沙汰されていた。特にQualcommについては、500億ドルの負債と独占禁止法上の懸念から買収計画が沈静化したとされている。
この買収報道を受け、過去6ヶ月間で約40%下落していたIntel株価は、即座に約10%の上昇を記録。市場が潜在的な買収の可能性を好意的に受け止めていることを示している。
現時点でIntelおよび買収を検討している企業からの公式なコメントは発表されていないものの、仮に買収が実現すれば、テクノロジー業界における最大級の取引の一つとなる可能性がある。
Sources
- SemiAccurate: Sources Say Intel Is An Acquisition Target
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