任天堂は、期待の次世代ゲーム機「Nintendo Switch 2」について、米国での予約受付開始を延期すると発表した。Trumpd大統領が新たに打ち出した輸入関税が、同社の事業や製品価格に与える潜在的な影響を精査するためである。発売予定日自体に変更はないものの、価格への影響を懸念する声が広がっている。
予約延期の公式発表と背景
任天堂は複数のメディアに対し、米国におけるNintendo Switch 2の予約受付を当初予定していた2025年4月9日には開始しないことを声明で認めた。
「Nintendo Switch 2の米国における予約注文は、関税の潜在的影響および変化する市場状況を評価するため、2025年4月9日には開始しません」と任天堂の広報担当者はCNBCなどに伝えている。「任天堂は後日、時期を更新します。発売日である2025年6月5日に変更はありません。」
この決定は、Trump大統領がNintendo Switch 2の詳細が発表された同日に、広範な輸入品に対する新たな関税を発表したことを受けたものだ。特に、多くの電子機器メーカーが生産拠点を置くアジア諸国への関税が注目されている。
新たな関税の詳細と任天堂への影響
今回発表された関税では、ベトナムからの輸入品に46%、中国からの輸入品には54%という高い税率が課される見込みである。
任天堂は、初代Nintendo Switchの生産を主に中国とベトナムで行っていた。Reutersが2019年に報じたように、任天堂はTrump政権の第一期において、当時検討されていた中国製品への25%の関税を回避するため、生産の一部を中国からベトナムへ移管した経緯がある。しかし、今回の新たな関税措置は、その移管先であったベトナムをも直撃する形となった。
Nintendo Switch 2の具体的な製造国は現時点で公表されていないが、初代機と同様にこれらの地域で生産される場合、関税によるコスト増は避けられない可能性がある。この予約延期は、任天堂が関税の影響を慎重に見極め、価格戦略を含む対応策を検討していることを示唆している。
価格への影響懸念と市場の反応
Nintendo Switch 2は、発表時に米国での価格が449.99ドル(約450ドル)とされた。これは初代Switchの発売時価格300ドルから大幅な値上げであり、発表当初から価格設定については様々な議論があった。一部アナリストは、発表された価格には既に関税リスクがある程度織り込まれていた可能性を指摘している。
しかし、今回の予約延期により、さらなる価格上昇への懸念が再燃している。電子機器製造業の業界団体IPCは、今週発表された関税により、ゲーム機の価格が最大で50%上昇する可能性があると試算している。仮に最も高い関税率(報道によるカンボジア向け49%など)が適用された場合、500ドル(約75,000円)の価格が 670ドル(約10万円)近くまで跳ね上がる可能性も試算されているが、これは最悪のシナリオである。
任天堂は現時点で、関税導入に伴う価格変更の可能性については明言していない。予約再開時期や最終的な価格設定がどうなるか、今後の動向が注目される。
Nintendo Switch 2とは?
Nintendo Switch 2は、2017年に発売され全世界で1億5000万台以上を販売した大ヒットゲーム機、Nintendo Switchの後継モデルである。初代機と同様に、携帯ゲーム機としても、テレビに接続する据え置き型ゲーム機としても利用できるハイブリッド型が特徴だ。
発表された情報によれば、カスタムNVIDIA製チップを搭載し、処理能力が向上。ディスプレイは7.9インチの120Hz LCDスクリーン、内蔵ストレージは256GBへと強化され、これにより、より大きく、より高速なゲーム体験が期待されている。
2025年6月5日の発売時には、人気シリーズの最新作『マリオカートワールド』の同時発売も予定されている。また、同作を同梱した54,800円の特別版も発表されている。
今回の予約延期は、世界中のゲーマーや業界関係者にとって大きな関心事であり、関税問題がグローバルなサプライチェーンと製品価格に与える影響の大きさを示す一例となった。任天堂からの続報が待たれる状況である。
なお、日本での価格や予約には影響はない。ただし、任天堂の公式サイトでは4月4日から抽選受付を開始しているが、抽選にもかかわらずアクセスが殺到しており申込みがスムーズにいかない状況が続いている。
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