GPUの需要が急増する中、NVIDIAが新たな一手を打った。同社は2024年9月6日、AI向けデータセンター企業のApplied Digitalに対し、1億6000万ドル(約236億円)の投資を行ったことを発表した。この投資には不動産大手のRelated Companies LPも参加している。Applied Digitalへの巨額投資の詳細Applied Digitalは、クラウドプロバイダーや他の組織向けにデータセンターを構築する、NASDAQ上場企業だ。今回の投資は私募形式で行われ、同社は1株3.24ドルで4938万株を発行した。テキサス州ダラスを拠点とするApplied Digitalは、AI向けワークロードに最適化されたデータセンターを構築することを専門としている。同社の特徴は、一般的なファンによる冷却ではなく、液体冷却技術を採用していることだ。この技術は、AIクラスターで広く使用されており、空冷よりも効率的に熱を放散することができる。さらに、Applied Digitalは顧客向けに構築するデータセンターにネットワーキングハードウェアや関連コンポーネントも装備している。同社によると、データセンター内のいくつかのシステムはバックアップ付きで実装されており、1つのシステムが故障した場合でも、バックアップコンポーネントが作動して停電を回避できるという。この革新的なアプローチにより、Applied Digitalは急成長するAI市場において重要な役割を果たす位置にいる。NVIDIAの投資は、同社の技術と戦略的重要性を裏付けるものと言える。
AIブームがもたらすデータセンター市場の急成長
NVIDIAによるApplied Digitalへの投資は、AIブームに伴うデータセンター市場の急成長を反映している。NVIDIAは2024年第2四半期だけで300億ドル以上のGPU関連収益を上げており、これらのGPUを設置するためのデータセンターの需要が急増している。
Applied Digitalの事例は、この市場動向の一端に過ぎない。2023年7月には、AI向けデータセンター企業のCyrusOneが79億ドルの融資を獲得し、最新のアクセラレーターを導入している。また、GPU貸出サービスで知られるCoreWeaveは、2023年5月に11億ドルのシリーズC資金調達を完了し、わずか数週間後には75億ドルの負債融資を確保している。
これらの巨額資金調達の背景には、最新のGPUの高価格化がある。NVIDIAの次世代Blackwell GPUは1枚あたり3万から4万ドルという車1台分の価格帯になると予想されており、多くのデータセンター運営者はこれらのGPUを担保に巨額の融資を受けている。
市場アナリストによると、1億5000万ドルを投資して約16,000台のNVIDIA H100 GPUを導入したクラスターは、4年以内に約52億7000万ドルの収益を生み出す可能性があるという。この収益性の高さが、NVIDIAや投資家たちがデータセンター企業に積極的に資金を投じる理由となっている。
NVIDIAにとっても、これらのプロジェクトへの投資は戦略的に重要だ。同社はGPUの設置容量が増えるほど多くのGPUを販売できるだけでなく、導入後のソフトウェアサブスクリプション収入も見込める。1時間あたり1ドルというサブスクリプション料金は、20,000台以上のGPUを持つクラスターでは急速に収益を積み上げる可能性がある。
Applied DigitalへのNVIDIAの投資は、AIブームがもたらすデータセンター市場の急成長と、その市場でのポジショニングを強化する両社の戦略を示している。今後も、AI技術の進化とともにデータセンター市場は拡大を続け、さらなる投資と革新が期待される。
Source
コメント