NVIDIAは、RTX 50シリーズGPUユーザーに深刻な影響を与えていたブラックスクリーン問題を解決するGame Ready Driver 572.60を正式にリリースした。このドライバは1月から報告され続けていた問題に対処するもので、複数のバグ修正に加え、『Naraka: Bladepoint』のDLSS 4サポートと本日リリースされる『Monster Hunter Wilds』への対応も含んでいる。
新ドライバ572.60でブラックスクリーン問題が解決へ
RTX 50シリーズ(RTX 5090、5080、5070 Ti)は発売以来、ブラックスクリーン、BSOD(ブルースクリーン・オブ・デス)、ゲームクラッシュなどの安定性問題に悩まされてきた。今回のドライバアップデート572.60では、特にエラーコード [5088957] [5100062] [5089089] に関連するブラックスクリーン問題が修正された。
一部のユーザーは、ブラックスクリーンのクラッシュが頻発し、PCIe 5.0インターフェースのダウングレードや、モニターのリフレッシュレートを60Hzに下げるなどの対策を講じる必要があった。
多くのユーザーがドライバアップデート後にブラックスクリーン問題に遭遇し、BIOSリセットや様々なトラブルシューティングを行っても解決しなかったという。NVIDIAはこの「広範なブリッキング」に対処するドライバをリリースすると約束していたが、今回のアップデートでその約束が実現した。
包括的な修正パッケージ:バグ解消とゲーム体験の強化
ブラックスクリーン問題の修正に加え、今回のアップデートでは他にも6つの重要なバグ修正が実装された:
- RTX 50シリーズGPUでのSteamVRアプリケーションのディスプレイスタッター解消
- DisplayPort 1.4とDSC(Display Stream Compression)を使用する高リフレッシュレートモニターでのオーディオ問題の修正
- ピクセル化された2Dパターンでのアプリケーションイメージ破損の修正
- Blackwell GPUでのVRay 6におけるCUDAパフォーマンス低下問題の解決
- Adobe Substance 3D Samplerの起動時クラッシュの修正
- Adobe Substance 3D PainterでのGPUレイトレーシングベーキング結果のテクスチャ破損の修正
ゲームサポートの面では、『Naraka: Bladepoint』がDLSS 4(Deep Learning Super Sampling)に対応し、『Monster Hunter Wilds』も新たにサポートされるゲームリストに加わった。さらに、29の新しいG-Sync互換ディスプレイもサポートリストに追加された。
二段構えの解決策:ドライバとvBIOSによる二重の対応
NVIDIAは今回のGeForce 572.60ドライバだけでなく、一部のBlackwell GPUではvBIOS(グラフィックカードのファームウェア)アップデートも同時に提供している。NVIDIAは、ブラックスクリーン問題の修正はファームウェア(vBIOS)またはこの最新ドライバのいずれかで実施できることを確認しており、問題解決には両方をインストールする必要はないとしている。
この2つの選択肢が提供されたことで、ユーザーは自身の環境や状況に応じて最適な修正方法を選ぶことができる。特にvBIOSのアップデートは、ドライバレベルより低いファームウェアレベルでの修正となるため、より根本的な解決策となる可能性がある。
残された課題と対応策:すべての問題は解決されたのか
今回のブラックスクリーン修正が、RTX 50シリーズの全ての安定性問題を解決するかどうかは現時点では不明である。特に、BSODやゲームクラッシュなどの問題がブラックスクリーン問題と同一の原因から生じているのか、それとも別の技術的問題によるものなのかは明らかになっていない。
また、570ブランチのドライバはRTX 40シリーズおよび30シリーズGPUでも問題を引き起こしているとの報告があり、今回の新ドライバがこれらの旧世代GPUでの問題も解決するのかは、ユーザーからのフィードバックを通じて明らかになるだろう。
RTX 50シリーズユーザーには、公式サイトからの最新ドライバ572.60へのアップデートが強く推奨される。問題が継続する場合は、NVIDIAのサポートページから提供されているvBIOSアップデートの適用も検討する価値がある。いずれにせよ、高額なハイエンドGPUにおいて初期段階でこのような問題が発生することは、早期採用者が直面するリスクの一例と言えるだろう。
Source
- NVIDIA: GeForce Game Ready Driver
コメント