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OpenAI、ChatGPTの「Deep Research」機能を全有料プランに拡大――精度向上と機能強化も実施

2025年2月26日

OpenAIは2月、高精度な調査レポートを自動生成するChatGPTの「Deep Research(詳細なリサーチ)」機能について、従来は月額200ドル(約3万円)のProユーザー限定だったものを、全有料プラン加入者(Plus、Team、Education、Enterprise)へと提供範囲を拡大した。この機能は数百のオンラインソースを自動分析して詳細な調査レポートを生成し、最近の改善では引用付き画像対応やファイル分析能力の向上、他のAIモデルと比較して大幅に低い誤情報生成率などが実現されている。

Deep Research(詳細なリサーチ)機能の本質と最新の改善点

Deep Researchは、従来の即時応答型チャットボットとは根本的に異なる機能だ。数百のオンラインソースを独自に調査し、テキスト、画像、PDFを分析して、専門アナリストが作成するような包括的なレポートを合成する。OpenAIによれば、この機能は同社の次世代モデル「o3」の特殊バージョンによって駆動されているという。

2月初旬にChatGPT Proプラン(月額200ドル)ユーザー向けに導入された後、今回の拡大で以下の改善が実施された:

  • レポート内に引用情報付きの埋め込み画像を生成可能に
  • アップロードされたファイルの理解と参照能力が大幅向上
  • 処理過程の透明性向上(サイドバーでの進捗表示)

OpenAIは公式の「System Card」も公開し、この機能の開発プロセス、能力、リスク評価の詳細を明らかにした。同社の「Preparedness Framework(準備体制フレームワーク)」においては「中程度のリスク」に分類されている。

プラン別の利用制限とアクセス方法

Deep Researchは、各プランによって月間利用可能クエリ数に明確な差が設けられている:

  • ChatGPT Pro:月120クエリ(以前の100クエリから増加)
  • ChatGPT Plus/Team/Enterprise/Education:月10クエリ
  • 無料ユーザー:将来的に月2クエリの提供を予定

利用方法は比較的シンプルだ:

  1. ChatGPTにアクセス(モバイル・デスクトップアプリも最新版で対応している)
  2. 質問入力後、メッセージ作成欄で「詳細なリサーチ」を選択
  3. 必要に応じてファイル添付で質問に文脈を追加
  4. 処理開始後、サイドバーに進捗状況が表示される
  5. 完了まで5〜30分程度(質問の複雑さによる)
  6. 完了時にユーザーへ通知が送信される

現在の出力形式はチャット内テキストレポートだが、今後数週間で埋め込み画像、データ可視化、その他の分析出力が追加される予定となっている。

精度向上とハルシネーション率の大幅低減

Deep Researchの最も注目すべき特徴は、他のAIモデルと比較して大幅に向上した精度と低減された「ハルシネーション(幻覚)」率だ。ハルシネーションとはAIが生成する誤情報を指し、信頼性の高いAI調査ツールにとって最大の課題の一つとされてきた。

PersonQAデータセットによるテストでは、以下の精度スコアが記録された:

  • Deep Research:0.86
  • GPT-4o:0.50
  • o1:0.55
  • o3-mini:0.22

ハルシネーション率については:

  • Deep Research:0.13(13%)
  • GPT-4o:0.30(30%)
  • o1:0.20(20%)
  • o3-mini:0.15(15%)

OpenAIによれば、この改善は広範なオンラインリサーチと「トレーニング後の手順」による事実正確性の強化が要因だという。ただし13%の誤情報率は依然として存在するため、長文レポートでは複数の不正確な情報が含まれる可能性がある点に注意が必要だ。

また、「Humanity’s Last Exam」と呼ばれる人間専門家でも難しいとされる超難度テストでも26.6%の精度を達成したとされ、これは従来のAIモデルでは考えられなかった飛躍的進歩だとしている。

AI調査ツール市場の競争激化

Deep Research機能の拡大は、急速に変化するAI調査ツール市場の競争状況を反映している。VentureBeatの分析によれば、特に中国のDeepSeekがDeepSeek-R1モデルをMITライセンスでオープンソース化したことが、この市場に大きな変化をもたらしている。

各主要プレイヤーは異なるアプローチを模索している:

  • DeepSeek:技術をオープンソース化し、幅広いアプリケーション開発を促進
  • Perplexity:DeepSeek-R1を低価格の調査ツールに統合
  • Anthropic(Claude 3.7 Sonnet):「可視化された拡張思考」による透明性重視
  • OpenAI:階層化されたプレミアムサービスモデルの維持

OpenAIのSam Altman氏は「Deep Researchはおそらく一部のユーザーにとって月1,000ドルの価値がある」と発言しており、OpenAIがこの機能に高い価値を見出していることを示している。無料ユーザーには月2クエリという厳しい制限を設ける計画も、この機能のプレミアム性を維持しつつ、将来的な民主化への布石と見ることができる。

今後の機能拡張ロードマップ

OpenAIは今後数週間から数ヶ月にわたる拡張計画を明らかにしている:

  1. チャットレポートへの埋め込み画像機能の強化
  2. データ可視化ツールの統合
  3. その他の分析出力オプションの追加
  4. 専門データソースへの接続機能

特に専門データソースへの接続は、ユーザーが自社固有のデータや業界特化型情報源を活用できるようにすることで、出力の正確性とパーソナライズをさらに向上させる可能性がありそうだ。


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