NVIDIAは CES 2025のEditor’s Dayにおいて、次世代GPU「GeForce RTX 50」シリーズの実際の性能向上幅を明らかにした。DLSS 4による画像生成技術を使用しない場合、フラッグシップモデルのRTX 5090で前世代比最大30%、RTX 5080で15%、RTX 5070シリーズで20%の性能向上となることが確認された。
RTX 50シリーズの実性能とDLSS 4の関係性
NVIDIAのGeForceデスクトップ製品マネージャーであるJustin Walker氏は、RTX 50シリーズの実際の性能向上について、従来の宣伝とは異なる詳細な説明を行った。それによると、先日の発表で強調された「2倍の性能」という数値は、新しいDLSS 4のマルチフレーム生成機能を使用した場合の理想的なシナリオであるようだ。
ネイティブ性能の実態
レイトレーシング性能に焦点を当てた場合の各モデルの実際の性能向上は以下の通りだ:
- RTX 5090:前世代比+30%(レイトレーシング時)
- RTX 5080:前世代比+15%(レイトレーシング時)
- RTX 5070 Ti:前世代比+20%(レイトレーシング時)
- RTX 5070:前世代比+20%(レイトレーシング時)
これらの数値は、あくまでもDLSSやその他のアップスケーリング技術を使用しない「ネイティブ」状態での性能向上幅である。
DLSS 4の大きな力
DLSS 4の最大の特徴は、4倍の「マルチフレーム生成」機能にある。この技術は前世代のRTX 40シリーズに搭載されていた2倍のフレーム生成と比較して、理論上で2倍、つまり合計4倍のフレーム生成が可能となっている。
具体的な例として、NVIDIAが示したベンチマークでは:
- 「バイオハザード4」(DLSS非対応)では純粋なハードウェア性能の向上のみ
- 「Horizon Forbidden West」では従来のDLSS 3までの恩恵
- その他のDLSS 4対応タイトルでは4倍のフレーム生成による大幅な性能向上
が確認されている。
実性能の解釈における注意点
特筆すべきは、RTX 5070に関する性能比較だ。当初NVIDIAは、RTX 5070がRTX 4090と同等の性能を発揮すると主張していた。しかし、これはDLSS 4を使用した場合の数値だったのだ。実際の比較データによると、DLSSを用いない場合のレイトレーシング性能においては:
- RTX 4090は、RTX 4070と比較して約2.2倍(約120%)高速
- RTX 5070は、RTX 4070と比較して約20%高速
このことから、DLSS 4を使用しない場合、RTX 5070とRTX 4090の間には依然として大きな性能差が存在すると言う事になるのだ。
フレームレートの実例
フラッグシップモデルであるRTX 5090の実性能について、NVIDIAは具体的なフレームレートデータを一部公開している。4K解像度、最高品質設定でのパストレーシング有効時:
- DLSS 4無し:50 fps未満
- DLSS 4有効時:250 fps以上
この大きな差は、DLSS 4による4倍のフレーム生成が実際のゲームプレイにもたらす影響の大きさを示している。ただし、これらの数値はNVIDIA自身による測定結果であり、第三者による独立したベンチマークテストでの検証が待たれる状況である。
製品ラインナップとポジショニング
NVIDIAは各モデルの想定用途も明確にした。RTX 5090とRTX 5080は4K解像度でのネイティブゲーミングを、RTX 5070 TiとRTX 5070は1440p解像度でのゲーミングをターゲットとしている。
メモリ構成:
- RTX 5090:32GB GDDR7
- RTX 5080:16GB GDDR7
- RTX 5070 Ti:16GB GDDR7
- RTX 5070:12GB GDDR7
価格設定と発売時期:
- RTX 5090:39万3,800円(1月30日発売)
- RTX 5080:19万8,800円(1月30日発売)
- RTX 5070 Ti:14万8,800円(2月発売)
- RTX 5070:10万8,800円(2月発売)
Xenospectrum’s Take
今回明らかになった性能向上幅は、前世代のAda Lovelaceアーキテクチャと比較すると控えめな印象を受ける。しかし、これはグラフィックス性能が成熟期に入りつつあることを示唆している可能性もある。
特に注目すべきは、NVIDIAがDLSS 4による性能向上を前面に押し出している点だ。これは、純粋なハードウェア性能の向上よりも、AI支援による画質向上・フレームレート改善にフォーカスを移行していることを示している。
ただし、RTX 5070がRTX 4090と同等という当初の主張が、実際にはDLSS 4ありの場合の数値であったことが判明し、マーケティング面での透明性には課題が残る。今後は、ベンチマークテストによる第三者検証が待たれる。
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