NVIDIAの次世代ゲーミングフラグシップGPU「GeForce RTX 5090」のPCB(プリント基板)とされる画像が中国のテクノロジーフォーラムでリークされた。画像からは、大型のGB202 “Blackwell” GPUダイ、Samsung製GDDR7メモリ、そして強力な電源供給システムの搭載が確認できる。これは、NVIDIAの次世代グラフィックボードの性能が大幅に向上することを示唆している。
基板設計と主要コンポーネントの詳細
流出したPCBの中で最も注目を集めているのは、その中央に配置された「GB202-300-A1」とラベル付けされた巨大なGPUチップである。このチップには大型のIHS(Integrated Heat Spreader)が搭載されており、放熱効率の最適化が図られている。なお、このサンプルはクアリフィケーション用であり、最終的な製品設計に近い段階のものとされる。チップの型番から、このGPUが完全な最上位モデルではない可能性も示唆されている。というのも、NVIDIAの慣例では、全SMを有効化した最上位モデルには通常「450」という型番が付与されるためだ。
メモリ構成については、GPUの周囲にSamsung製GDDR7メモリモジュールが16個配置されている。このメモリ構成は512ビットのバス幅を実現し、28Gbpsという高速な動作を可能にする。この仕様により達成される1,792GB/sというメモリ帯域幅は、現行モデルRTX 4090の1,008GB/sと比較して約78%の向上を実現する画期的な仕様となっている。興味深いことに、同じBlackwellシリーズの中でもRTX 5080は、このGDDR7メモリの動作速度がさらに高速になるとされている。
電源供給システムについては、撮影された範囲だけでも28基のVRMの存在が確認されている。これらのVRMは、高性能なパワーステージと組み合わされ、安定した電力供給を実現する設計となっている。電源入力には単一の16ピン(12V-2×6)コネクタが採用されており、これは最大600Wまでの電力供給に対応する。この電源設計は、高い演算性能を実現するために必要な大電力を安定して供給することを目的としている。基板上には多数のコンデンサも配置されており、瞬間的な電力需要の変動にも対応できる設計思想が見て取れる。
注目すべきは、このPCBにNVIDIAのブランド表記が見当たらないという点である。基板右下のマーキングから、これはPNY社が製造するNVIDIAのPG145(GB202)ボードである可能性が高いとされている。これは、NVIDIAが採用するマルチベンダー戦略の一端を示すものと考えられ、最終的な製品では各メーカーによって独自の改良が加えられる可能性が高い。特に電源設計については、オーバークロック向けのカスタムモデルでは、デュアルコネクタを採用するなど、さらなる強化が図られる可能性も示唆されている。
RTX 5090の技術仕様と新機能
RTX 5090の技術仕様において、最も注目すべき進化の一つがメモリシステムである。標準構成として32GBのGDDR7メモリを搭載する見込みだが、PCBの設計からは更なる可能性が示唆されている。基板上に配置された16個のメモリモジュール用パッドは、使用するメモリチップの容量次第で48GBあるいは64GBまでの拡張potentialを秘めている。この大容量メモリ構成は、特に大規模なAIモデルの処理や8K解像度でのコンテンツ制作において、重要なアドバンテージとなることが期待される。
表示出力の仕様においても、大きな進化が確認されている。2016年から使用されてきたDisplayPort 1.4aに代わり、DisplayPort 2.1aを採用することで、表示能力は大幅に向上する。新規格ではUHBR20仕様による完全な帯域幅をサポートしており、これにより従来の約3倍のデータ転送容量を実現する。この進化により、8K解像度で240Hzのリフレッシュレートを実現できるほか、DSC(Display Stream Compression)技術と組み合わせることで、16K解像度でも60Hzでの表示出力が可能となる。これは次世代の高解像度ディスプレイ環境を見据えた先進的な仕様といえる。
さらに、RTX 5000シリーズは、NVIDIAの民生用GPUとしては初めてPCIe 5.0に対応する。これにより外部帯域幅は64GT/sへと倍増し、特にマルチGPU構成やAIワークロードにおいて恩恵をもたらすことが期待される。ただし、一般的なゲーミング用途においては、この帯域幅の向上による直接的な性能向上は限定的となる可能性が高い。これは現行のゲームタイトルのほとんどが、PCIe 4.0の帯域幅でも十分なパフォーマンスを発揮できているためである。
電力管理の面では、新設計の12V-2×6電源コネクタの採用が確認されている。これは前世代のRTX 40シリーズで話題となった12VHPWR電源コネクタの溶解問題への対応策と見られる。新コネクタは最大600Wまでの電力供給に対応しながら、より高い信頼性と安全性を確保する設計となっている。ただし、サードパーティメーカーによるオーバークロック仕様のモデルでは、より高い電力供給を実現するためにデュアルコネクタ設計が採用される可能性も示唆されている。
このような先進的な技術仕様は、単にゲーミング性能の向上だけでなく、プロフェッショナルな創作活動やAI処理といった新たな用途における高い潜在能力を示唆している。特に大容量メモリと高速なメモリバス、そして強化された電源供給能力の組み合わせは、次世代のグラフィックス処理における新たな可能性を切り開くものとして注目される。
Sources
- Source: Harukaze5719
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