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NVIDIA、ブラックスクリーンやクラッシュを修正するGeForce Driver 576.02を緊急リリース

Y Kobayashi

2025年4月17日

NVIDIAがGeForce GPU向けの新ドライバ「GeForce Game Ready 576.02 WHQL」をリリースした。今回のアップデートは、特にRTX 50シリーズで報告されていたブラックスクリーンやクラッシュ、ゲームの安定性に関する多数の問題を修正するもので、ユーザー待望の安定化に向けた重要な一歩となる。同時に、新たに発売されたGeForce RTX 5060 Tiへの対応も含まれている。

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異例の規模:ドライバ576.02での主なバグ修正

今回のドライバアップデートが注目される最大の理由は、その修正項目の多さだ。NVIDIAのリリースノートによれば、修正されたバグリストは通常よりも大幅に長く、実に2ページ近くに及ぶ。これは、ここ数ヶ月間、特にRTX 50シリーズの登場以降にユーザーから報告が相次いでいた様々な問題に、NVIDIAが本格的に対処したことを示唆している。

修正内容は多岐にわたるが、主に以下のカテゴリに分類できる。

  • ゲーム関連のバグ修正:
    • 『Fortnite』でのランダムなクラッシュ。
    • 『Star Wars Outlaws』で5分以上放置した際のフリーズ。
    • 『Monster Hunter Wilds』でDLSS Frame Generation(AIを利用しフレームレートを向上させる技術)有効時にクエストを受注するとクラッシュする問題。
    • DLSS Frame GenerationとG-SYNC(ディスプレイのリフレッシュレートをGPU出力と同期させる技術)を併用した際のゲーム安定性の問題。
    • 『Overwatch 2』でVSYNC(垂直同期)使用時のスタッター(カクつき)。
    • 『Hellblade 2: Senua’s Saga』、『The Last of Us Part 1』、『Control』、『UNCHARTED: Legacy of Thieves Collection』など、複数のタイトルにおけるクラッシュ、描画の不具合、パフォーマンスの問題。
  • システム全般のバグ修正:
    • Windows 11 バージョン 24H2 環境における安定性の問題。
    • DLSS 4のMulti Frame Generation使用時に特定の条件下でBSOD(Blue Screen of Death、ブルースクリーン)が発生する問題。
    • システム全体に影響する可能性のある安定性の問題。
    • 長時間スリープからの復帰時にディスプレイが表示されない問題。
    • 特定のモニター(LG 27GN950など)やDisplayPortデイジーチェーン接続環境における表示の問題。
  • RTX 50シリーズ特有のバグ修正:
    • ゲームプレイ中や高負荷時に発生するランダムなブラックスクリーンやクラッシュ、GPUアンダーフロー。
    • 特定のドライババージョン(572.16)でのシステムハングアップ。
    • 一部ゲームにおけるディザリング(疑似階調表現)やバンディング(色の階調が縞模様に見える現象)の問題。
    • DisplayPort 2.1接続時やDLDSR(AIを活用した高解像度化技術)使用時の表示の問題。
    • 特定のVRヘッドセット(Varjo Aero)との接続問題。
    • 一部システム構成におけるDPCレイテンシ(音飛びなどの原因となる遅延)の上昇。

これほど多くの修正項目が一度に含まれるのは、NVIDIAのドライバアップデートとしては異例だが、同社が安定性向上に真剣に取り組んでいる姿勢の表れと言えるだろう。

RTX 50シリーズユーザー待望の安定化へ

NVIDIAの最新世代GPUであるRTX 50シリーズ(RTX 5090など)は、今年1月の登場以来、その高い性能が注目される一方で、ドライバの不安定性に悩まされるユーザーが少なくなかった。特に、原因不明のブラックスクリーン、ゲーム中の突然のクラッシュ、システムのフリーズといった問題が複数のユーザーから報告されており、快適なゲーム体験を妨げる要因となっていた。

これらの問題はRTX 50シリーズだけでなく、最新ドライバを適用した旧世代のGPU(RTX 40シリーズやRTX 30シリーズ)にも影響を及ぼすケースがあり、一部のユーザーは安定性を求めて昨年12月時点の古いドライババージョンに戻すといった対応を余儀なくされていた。こうした状況を受け、一部のテックメディアやゲーム開発者からは、NVIDIAのドライバ品質に対して厳しい意見も出ていた。

今回の576.02ドライバは、こうした状況に対するNVIDIAからの回答と言えるだろう。リリースノートにはRTX 50シリーズに特化した修正項目が多数含まれており、これまで報告されてきた主要な問題の多くに対応していることがうかがえる。もちろん、すべての問題が完全に解決されたわけではない可能性もあるが、RTX 50シリーズユーザーにとっては、安定性向上への大きな期待が持てるアップデートであることは間違いない。

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新GPU「RTX 5060 Ti」サポートとその他の更新

本ドライバは、バグ修正だけでなく、いくつかの新機能やサポート追加も含まれている。

  • GeForce RTX 5060 Ti サポート: 本日より発売が開始されたミドルレンジGPU「GeForce RTX 5060 Ti」(希望小売価格379ドル~)に正式対応する。
  • DLSS 4 対応ゲーム: 『Black Myth: Wukong』と『No More Room in Hell 2』の2タイトルにおいて、DLSS 4のサポートが追加された。

ただし、NVIDIAは依然としていくつかの未解決の問題(Open Issues)が残っていることも明らかにしている。例えば、RTX 50シリーズ搭載ノートPCでモダンスタンバイからの復帰時にブラックスクリーンが発生する可能性や、デスクトップ版RTX 50シリーズで『Cyberpunk 2077』のフォトモード(パストレーシング有効時)や『Red Dead Redemption 2』(DirectX 12モード)でクラッシュが発生する問題などが挙げられる。これらの問題については、今後のドライバアップデートでの修正が待たれる。

なぜ今すぐアップデートすべきか

もしあなたがNVIDIA GeForce GPUユーザーで、特に最近のドライバで不可解なクラッシュ、ブラックスクリーン、ゲームの不安定性などに遭遇していたなら、今回のGeForce Game Ready 576.02ドライバへのアップデートを強く推奨する。これほど大規模なバグ修正が行われたアップデートは稀であり、システム全体の安定性向上や、これまで問題が発生していたゲームの快適なプレイにつながる可能性が高い。

ドライバのアップデートは、NVIDIAの公式Webサイトから直接ダウンロードするか、NVIDIA App(旧GeForce Experience)を通じて簡単に行える。NVIDIA Appを利用すれば、万が一アップデート後に新たな問題が発生した場合でも、以前のドライババージョンに容易にロールバック(差し戻し)することが可能だ。

もちろん、前述の通り未解決の問題も残ってはいるものの、今回のアップデートによって解消される問題の方がはるかに多いと考えられる。最新の安定性とパフォーマンスを手に入れるためにも、ぜひアップデートを検討してみてほしい。


Sources

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