コンシューマ向けPCIe 5.0 SSDが登場し始めてから1年が経つが、まだまだ高価な部類に入り、これが普及の妨げになっている。だが、Phisonが今後リリースを予定している「PS5031-E31T」SSDコントローラーの登場はこの状況を変える起爆剤になるかも知れない。
PhisonのE31Tは世界初の「DRAMレス」PCIe 5.0 SSDコントローラー
Phisonの「PS5031-E31T」SSDコントローラーは、既にPhisonが販売しているハイエンドSSD向けコントローラー「PS5026-E26」と同様、2つのArm Cortex-R5コアを使用している。E26はTSMCの12nm製造ノードで製造された8チャンネルコントローラーであるが、新しいE31Tコントローラーは、新たにTSMCの7nmプロセスで製造された4つのNANDチャンネル(16のCEターゲット)を持つ、世界初となるDRAMキャッシュレスコントローラーとなる。
E31T | E27T | E21T | E26 | E18 | |
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セグメント | メインストリーム | ハイエンド | |||
製造プロセス | 7nm | 12nm | 12nm | 12nm | 12nm |
CPUコア | Cortex R5 x2 | Cortex R5 x1 | Cortex R5 x1 | Cortex R5 x2 | Cortex R5 x3 |
エラー訂正 | 7世代 LDPC | 5世代 LDPC | 4世代 LDPC | 5世代 LDPC | 4世代 LDPC |
DRAM | 無し | 無し | 無し | DDR4, LPDDR4 | DDR4 |
ホストインターフェース | PCIe 5.0 x4 | PCIe 4.0 x4 | PCIe 4.0 x4 | PCIe 5.0 x4 | PCIe 4.0 x4 |
NVMeバージョン | NVMe 2.0 | NVMe 2.0 | NVMe 1.4 | NVMe 2.0 | NVMe 1.4 |
NANDチャネル、インターフェース速度 | 4 ch, 3600 MT/s | 4 ch, 3600 MT/s | 4 ch, 1600 MT/s | 8 ch, 2400 MT/s | 8 ch, 1600 MT/s |
最大容量 | 8 TB | 8 TB | 4 TB | 8 TB | 8 TB |
シーケンシャルリード | 10.8 GB/s | 7.4 GB/s | 5.0 GB/s | 14 GB/s | 7.4 GB/s |
シーケンシャルライト | 10.8 GB/s | 6.7 GB/s | 4.5 GB/s | 11.8 GB/s | 7.0 GB/s |
4KBランダムリード IOPS | 1500k | 1200k | 780k | 1500k | 1000k |
4KBランダムライト IOPS | 1500k | 1200k | 800k | 2000k | 1000k |
製造プロセスの微細化は、消費電力の大幅な削減、そして発熱の低減にも繋がるだろう。そのため、これまでのような巨大なヒートシンクを備える必要も無くなるようだ。加えて、DRAMキャッシュレスと言う事、NANDチャネルが最大4チャネルという点も消費電力の削減、そして大きなコスト削減にも寄与すると見られる。
E31Tはまた、最大3,600MT/秒のNAND(TLCまたはQLC)をサポートする。これにより、最大読取り/書込み速度は10,800 MB/秒、4Kランダム読取り/書込みIOPSは最大1,500Kとなる。これをもって、PhisonはE31Tプラットフォームを「初のメインストリーム10GB/秒プラットフォーム」と呼んでいる。
加えて、性能を高めるため、E31TコントローラーはLPDC符号化方式に基づく独自の第7世代ECCエンジンを採用し、性能とデータの信頼性を高めている。これらの機能をすべて搭載しているため、Gen5 SSDセグメントは比較的価格の安い製品の流入が増加すると予想され、競合他社が同様の製品を出していないことから、そのほとんどがE31Tコントローラーを利用することになると思われる。
PS5031-E31Tコントローラーは2024年第4四半期までに出荷される予定のようだ。年末商戦ではこれまで以上に手に入りやすいPCIe 5.0対応SSDが登場するかも知れない。
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