Donald Trump次期大統領は、アラブ首長国連邦(UAE)の不動産開発大手DAMAC Propertiesの創業者Hussain Sajwani氏が、米国内の新規データセンター建設に200億ドルを投資すると発表した。Mar-a-Lagoで開催された記者会見で明らかにされたこの計画は、主にAIとクラウド技術をサポートするインフラ整備を目的としている。
大規模投資の詳細
この大規模投資計画は、米国の技術インフラを強化する野心的なプロジェクトとして位置づけられている。第一段階では、中西部からサンベルト地帯にまたがる8州、具体的にはアリゾナ、イリノイ、インディアナ、ルイジアナ、ミシガン、オハイオ、オクラホマ、そしてテキサスにデータセンターが建設される予定だ。これらの施設は主にAIとクラウドテクノロジーをサポートする最新鋭のインフラとなることが想定されている。
投資の規模については、Sajwani氏が「200億ドルを大幅に上回る可能性がある」と言及しており、長期的な展開を視野に入れていることが窺える。この動きは、Associated Pressの試算による今後の米国データセンター投資総額1兆ドルの一部を構成することになる。なお、DAMACはすでにUAE、サウジアラビア、トルコ、スペイン、タイ、インドネシアなどでデータセンター事業を展開しており、今回の米国進出は同社のグローバル戦略の重要な一歩となる。
注目すべきは、この投資計画がAIサーバーの特殊な技術要件に対応することを念頭に置いている点だ。従来のサーバーで使用されていたファンによる冷却方式ではなく、液冷方式に最適化された施設となる見込みである。しかし、具体的な施設の仕様や、どの企業がこれらのデータセンターを利用するのか、さらには再生可能エネルギーなどの電力インフラへの投資計画については、現時点で詳細は明らかにされていない。
DAMACとTrump Organizationの関係も、この投資の文脈で重要な背景となっている。2017年にはドバイでTrump International Golf Clubを建設し、数百万ドルのライセンス料を支払っているほか、Sajwani氏個人が2016年の大統領選でTrump陣営に100万から500万ドルを献金したとされる緊密な関係にある。この投資発表のタイミングは、先月、孫正義氏率いるSoftBank GroupがAIと関連インフラに1,000億ドルを投資すると表明した直後となっており、米国のテクノロジーインフラ整備を巡る国際的な投資競争の活発化を示している。
産業界への影響と課題
この投資発表は、AI産業の急速な成長に伴うデータセンターインフラ需要の高まりを反映している。Microsoftは最近、AI向けデータセンターに800億ドルを投資する計画を発表。OpenAIのCEO Sam Altman氏も、米国におけるインフラ建設の困難さを指摘しつつ、より効果的な政策の必要性を訴えている。
しかし、過去の大型投資案件には警鐘となる事例も存在する。2017年に発表されたFoxconnのウィスコンシン工場計画は、当初の100億ドルから6.72億ドルに縮小され、約束された13,000人の雇用創出も1,000人程度にとどまった。
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