AMDの3D V-Cache搭載プロセッサは、Ryzen 7000X3Dプロセッサが2023年9月に発売されたが、あれから1年、新たなZen 5「Ryzen 9000シリーズ」の登場と共に、その3D V-Cache対応プロセッサ「Ryzen 9000X3D」がこの秋にも登場することが囁かれている。AMD自身が“クールな差別化”を表明していたことから、その新たな機能について様々な憶測が流れていたが、新たな情報では、その仕様の一つについては全モデルと変わらない可能性がありそうだ。その仕様とは、キャッシュサイズである。
AMD Ryzen 9000X3Dキャッシュ
これまでの憶測では、SRAMの微細化によりダイ面積に余裕が出来ることからキャッシュサイズが増大するのではとの憶測もあったが、Wccftechが独自に入手した情報によると、AMDはRyzen 9000X3Dでキャッシュ容量を変更しない可能性があるとの事だ。AMDは現在Ryzen 7000X3Dシリーズと同様のラインナップを計画しているとされており、具体的には以下の3つのSKUで構成される。
- Ryzen 9 9950X3D – CCD毎に32MB =2CCD(64 MB L3) + 64 MB 3D V-Cache + 16 MB L2 + 1 MB L1
- Ryzen 9 9900X3D – CCD毎に32MB =2CCD(64 MB L3) + 64 MB 3D V-Cache + 12 MB L2 + 768 KB L1
- Ryzen 7 9800X3D – CCD毎に32MB =1CCD(32 MB L3) + 64 MB 3D V-Cache + 8 MB L2 + 512 KB L1
最上位のRyzen 9 9950X3Dは、1つのCCDに32MBのL3キャッシュが搭載されているが、CCDが2つ搭載されているため、3D V-Cacheと合わせて128MBのL3キャッシュを持ち、16MBのL2キャッシュ、1MBのL1キャッシュを搭載することになるようだ。
その下のRyzen 9 9900X3Dは、L3キャッシュ構成は9950X3Dと同様だが、L2キャッシュが12MBに、L1キャッシュが768KBとなっている。
Ryzen 7 9800X3Dは、CCDが1つであるため、L3キャッシュは3D V-Cacheと合わせて96MB、L2キャッシュは8MB、L1キャッシュは512KBとなっている。
これまでのところ、新しいX3Dモデルに関しては、変更点は完全なオーバークロックが解放される可能性が報じられている。ただし、この有効化の範囲は不明であり、一部の専門家は敏感な3D V-Cacheを保護するため、実際に設定出来る範囲は限定的であると予測されている。
余りオーバークロックを熱心にしないゲーマーにとっては、コア・アーキテクチャがZen 5に置き換わった以外は現時点ではRyzen 9000X3Dは目新しい機能はない可能性もありそうだ。Ryzen 9000X3Dについては、2024年の第3四半期か第4四半期前半に発売されるといわれており、年末商戦ではIntelのArrow Lakeと勝負となるが、Intelの現状を考えると、同価格帯ではAMDに軍配が上がりそうな予感だ。
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